今回はタイトルにある通り。
「科学的な適職」を読んだので、その内容を要約していきながら、感想レビューをしていこうと思います。
結論から行ってしまうと、「科学的な適職というのは、その人の幸福度を高めるもので、幸福度を高める仕事に就くことが適職」
というのが、この本の結論になります。
あらすじ
じゃあ、「幸福度が高い仕事の要件とは何なのか。」
この部分を本書の本題として、数々の論文を掲載しながら解説しているのが、この本の本筋ということなんですね。
この科学的な適職を描いた鈴木裕さんという方の本は、過去に「ヤバイ集中力」というのモノ読んでいて。
このやばい集中力もかなり面白い内容でした。
集中力に特化した、科学的な論文や証拠、エビデンスを紹介しながら描いた本ですが、個人的にはかなりおすすめです。
当然今回の「科学的な適職」というのも、数々の研究やエビデンスをもとに「その人に合った仕事とは」
ということを深堀しているので、多くの人に刺さると思う。
そして結論として冒頭にも伝えた通り、「人間というのは、幸福度を高めるために仕事をし、幸福度が高い仕事に就くことが適職だ」
というのが、科学が提唱している適職の定義なんですね。
つまるところ。
「お金」とか、「地位」だとか、「名誉」だとか。
そういったところが、その人の仕事の物差しになる気が一瞬だけしますが、そういったことは、まったく適職とは関係ない、ということ。
この点はのちに出てきますが、僕ら人間は突き詰めると「幸せ」になるために生まれてきた。
そして人生生きている中で、「仕事」というものが占める時間は膨大になる。
「仕事=幸せ」
こういう図式になれば、どれほど人生という長い時間有意義に過ごせるのか、想像に難しくありません。
だからこそ「適職」を見つけたい人は、ぜひ読んでみるといいと思いますね。
実は幸福度に関係ない3つの価値観
ただ、まあ読んでみる前に、内容を知っておきたいという人もいると思うので、これからわかりやすくざっくりと要約していこうと思います。
まず「科学的な適職」として、語られるのは「実は幸福度に関係ないこと」として、
- 好きを仕事にする
- 収入が高い仕事をする
- 楽な仕事をする
これらは幸福度を高めない仕事であることが分かっています。
一見すると「好きを仕事に」と聞けば、楽しいことに囲まれストレスなく生きられる気がする。
むしろこの科学的な適職というのは「自分の好きを見つけてくれて、それを仕事にする方法が聞ける本だと思っていた」なんて人もいるかもしれない。
ただ、科学的に言えば、「好きを仕事にする」こと自体間違っている、と指摘しているんですね。
好きを仕事にする
一つ一つ見ていくと。
まず好きを仕事にする、ということに関して言えば、「イチロー選手」を思い浮かべます。
というのも、あるインタビューでイチロー選手は「野球自体を嫌いになったことは一度もないが、プロ野球というものは好きじゃない」
そんな風にコメントしています。
これがまさしく「好きを仕事にしてはいけない理由」を端的に表していて。
科学的にも、ある一定のラインまではモチベーションが続くが、2~3年ほどたつとモチベーションが低下する傾向があることが分かっています。
そのある一定のラインというのは、おおよそ1年とされているので、好きというのは、それだけ「一瞬のやる気」しか生まないんですね。
逆に「仕事はやっていけば好きになる」という人のほうが、それほど期待値が高いわけじゃないので、モチベーションが長く続く傾向にあり。
そのうえで「相対的に2~3年ごとの給料も高い傾向にある」ということが分かっています。
だから、「好きを仕事にする」というのは、それほど科学的に良いとは言えない、ということなんですね。
収入が高い仕事をする
「好きな仕事」次に上がってくる適職の候補は「収入がいい仕事」ということだと思いますが、これも幸福度につながらないことが分かっています。
だから「給料や報酬によって仕事を決める」というのも、あまりよろしくない選択ということなんですね。
というのも。
これも本書の中で詳しい論文とともに解説されていますが、年収で4~500万円ほどは、収入の増加と幸福度との相関性がみられるものの。
それ以降は、幸福度の増加と収入の増加はあまり見られません。
8~900万円を超えると、幸福度が増加することはほとんどなく、ほぼ横ばい状態だということが分かっています。
つまり一定の割合を超えると「収入が増えてもうれしくない」という感覚が芽生える。
だからこそ、科学的には「報酬が高い仕事がいい」ということがいえない、ということなんですね。
もちろん4~500万円までは幸福度が高まることが分かっているので、最低限はここら辺のラインまでは収入があることが前提ですが、それ以上は目指すべきではない、ということなんですね。
楽な仕事をする
続いて勘違いしている仕事の価値観として「楽な仕事をしてい生きていきたい」
そんな人も多くいると思いますが、残念ながら科学的に楽な仕事は、同時に幸福感をもたらさないことが分かっています。
というのも。
これは「ヤーキーズドットソンの法則」というもので説明ができていて。
ヤーキーズドットソンの法則というのは、簡単に言えば「適度なストレスが達成感や成長を感じさせる=生産性を高める」というものです。
ストレスというのは、極端に少なければ、それはモチベーションの低下を招き、達成感や成長を阻害します。
逆にストレスが異常に高ければ、それは精神病やうつなどを招くケースがあるため、これまた逆効果。
つまり「適度なストレス」こそが、僕らの幸福度に大きく影響しているということ。
だからこそ「楽な仕事=ストレスがなさすぎる」というのも、逆に「不幸」だということなんですね。
科学的な適職を見つける3つのポイント
ここまでを見ていくと、多くの勘違いポイントが見つかり、ほとんどの人が「間違った適職」を探していることに気づきます。
好きを仕事にしてもいけないし、収入だけを見てもいけない。
これらは不幸を招き、幸福度を高めるには至らない。
じゃあ、どうすればいいのか。
この本の中で語られている3つのポイントというのは、
- 自由度が高い
- 達成感がある
- モチベーションタイプにあっている
この3つのポイントが、幸福度を高める適職だ、という風に語られています。
具体的に一つ一つ見ていくと。
自由度が高い
自由度が高いというのは、いわゆる「仕事の時間、仕事の場所、仕事の進め方」など。
いわゆるこれらの「裁量権」が自分にあることを、自由度が高い、という風に定義しています。
実際に数々の研究で、自由度が高い職場ほど、その仕事における満足度や幸福度が高いことが分かっています。
僕自身もこの本ではなく、別の研究なんかでも、知っていた事実で。
デューク大学などの研究で、Amazon倉庫で働く人たちを対象にした論文なんかでも紹介されています。
彼らは、「仕事を自分の決めたスケジュールで進められる=自由度」の高い人ほど、幸福度が高く仕事へのやりがいなどを感じている傾向であることが分かっていて。
逆に「誰かの指示で動かされている人」というのは、幸福度ががくんと下がっている傾向にあることが分かっています。
要するに「裁量権がどれぐらいあり、どれぐらい自由に仕事ができる環境か」
というのが、科学的には重要なポイントだ、ということなんですね。
達成感がある
続いて「達成感」ですが、これも多くの論文が証明していることで。
この記事でも書いている通り、ギャロップ者が調査した結果では、「達成感」が仕事の幸福度を高めることが証明されています。
当然といえば当然ですが、科学的な適職ということなので、科学会での「当たり前」として結論がかぶってしまう。
ただそれだけ信ぴょう性が高いということで、「達成感」が、僕ら人間の成長を加速させ、幸福度を高めるというのは、ある意味当たり前の話だということで、数々の論文が証明している事実だったりします。
モチベーションタイプにあっていること
そして最後の「モチベーションタイプにあっている」ということですが。
これ自身は僕は知らなくて。
実はモチベーションにはタイプがある、とこの本では語られます。
そのタイプというのは
- 攻撃型
- 防御型
この2つで。
攻撃型というのは、「利益」に重きを置いているタイプで、利益を上げることや給料、報酬、名誉地位、成長などが仕事のモチベーションとなっている人。
防御型というのは、「責任」に重きを置いているタイプで、義務や正確性、安定感にモチベーションの重きを置いているタイプの人。
これらの違いがあり、どちらのモチベーションタイプなのかを見極めておくことが、適職につくための要素だといわれています。
幸福度を下げる仕事の特徴
そして最後に。
科学的な適職=幸福度を上げる仕事の特徴が分かったら、幸福度を下げる特徴として3つのポイントが挙げられています。
その3つというのが、
- 休日がない
- 雇用が不安定
- 労働時間が長い
この3つ。
これはいわずもがななので、さらっと解説しておくと。
休日がないというのは、当たり前のごとくです。
雇用が不安定というのも、当然幸福度にかかわってくる要素な。
そして労働時間も目安として週に40時間以内が、人間にあっている目安だとされていて。
41時間以上を超えると、かなり病気になるリスクが高まり始めるとされています。
また、通勤時間も労働時間と同じく考えることができるので、通勤時間が長く残業もある、ということであれば、その職場は考える必要がある、ということですね。
まとめ
少し長くなってしまったので、まとめていくと。
好きを仕事にしたり、収入だけにフォーカスしても、モチベーションは継続せず幸福度も比例していかない。
また楽さだけを追求しても、適度なストレスを受けられないので、これまた達成感を味わえないため、適職とは言えない。
本当の適職は、自由度が高く、達成感を感じられる仕事であり、かつ自分のモチベーションタイプにあっているもの。
それらを選べたら、休日がきちんとあり、週に40時間以内の労働時間で、雇用の安定がある職場が望ましい。
科学的な適職をまとめるとこんな感じです。
ぜひ参考にどうぞ。