グレッグマキューン著者の「エッセンシャル思考」を読みました。
このエッセンシャル思考を知らない人もいると思いますし、すでに知っているという人もいるかと思います。
なので、おさらいという形で内容を伝えながら、加えて「どうエッセンシャル思考を生かすべきか」を伝えておこうと思います。
「エッセンシャル思考」本情報
著者:グレッグマキューン
訳:高橋璃子
発行所:株式会社かんき出版
発行:2014年11月17日 第1刷発行
2014年12月12日 第4刷発行
キャッチコピー:最小の時間で成果を最大にする。
ダニエルピンク、クリスギレボー、アダムグラントが絶賛する全米ベストセラー、待望の翻訳!
Apple、Google、Facebook、Twitterのアドバイザーを務める著者の99%の無駄を捨て1%に集中する方法!
エッセンシャル思考は、単なるタイムマネジメントやライフハックの技術ではない。本当に重要なことを見極め、それを確実に実現するためのシステマティックな方法論だ。エッセンシャル思考が目指す生き方は、「より少なく、しかしより良く」。時代はすでにその方向へ動き出そうとしている。
「エッセンシャル思考」あらすじ
もし仮に1日10時間の労働で、月100万円稼いでいる人がいるとする。
その人がもし、たった「1日2時間の作業」だけで、月80万円稼げたとしたらどうだろう。
もっと質問を簡単にすると、1日10時間働いて、月100万円を得るライフスタイル。
1日2時間働いて月80万円を得るライフスタイル。
あなたはどちらを選ぶだろう。
もちろんこれは単なる作り話し。
だから実際にあるないは関係なく例題として出したわけですが、ここに出した「1日10時間で月100万円」と「1日2時間で月80万円」というのは1つ論理的な証拠に基づいて出した数字です。
それはおそらく皆が聞いたことある内容だと思いますが。パレード氏が提唱した「20対80の法則」からなるもので、いわゆるパレードの法則と呼ばれるやつです。
上記で挙げた数字はなんらでたらめではなく、このパレードの法則に基づいて例題として出した数字です。
このパレードの法則を知らない方のために説明しておくと、成果の8割は、2割の行動から生み出されているということ。
つまり10時間働いて月100万円という報酬は、1時間10万円という均一の報酬ではなく、わずか2時間によって80万円がもたらされているということ。
この現代において。
「決まらない会議」「会合と言う名の飲み会」「いつ使うのかわからない書類作成」
と言うように、全く結果に繋がらない仕事に従事し、自分の時間を失っている人が本当に多くいます。
その一方で、ベッカムやビルゲイツのように、時給数百万円という途方も無い金額を叩き出している人たちがいる。
時間は皆平等だと学校で習ったはず。ただしかし。同じ時間を費やしているのに生み出す結果はまるっきり違う。
「それはなぜか?」
その答えとしてこの本で挙げているのが「エッセンシャル思考」からなる、少ない労力で成果を最大化させる。という方法だと言うこと。
このエッセンシャル思考では、先ほどのパレードの法則からなる8割の成果を生み出す2割の作業に全てを注ぎ込むことで、「より少なく、しかしより良く」と言う理想的な働き方を提示しています。
そして数々の経営者やスポーツ選手も、意識無意識のうちに取り入れているのがこのエッセンシャル思考だと伝えています。
エッセンシャル思考が成功をもたらした例
例をあげるのであれば、世界一の投資家と名高いウォーレンバフェット。
彼もエッセンシャル思考を取り入れたことで、大富豪としてフォーブスニナを連ねるようになったと本の中では語られています。
それはバフェットが投資を始める時の言葉にエッセンシャル思考は現れていて。
日本ではもとよりアメリカにおいても、数々の投資先が存在します。
日本でさえも3000近い数の投資先が存在する中で、バフェットは「どの株に投資すべきか?」と言うところで「リソースに限界がある中で、数千というものを見るのは無理だ」と悟り、その中でわずか数株に絞って投資を始めます。
ウォーレンバフェットの資産は数兆円ということなので、僕ら素人の感覚から言うと、数々の株を売買しているイメージですが、その兆という金額を生み出した投資株はわずか10ほどだったそうです。
それは本書の中で取り上げられいて「バフェットは若い頃、数百の正しい決断をすることは不可能だと悟った。そこで絶対に確実と思われる投資先だけに限定し、そこに大きくかけることにした。彼の資産の9割はたった10種類の投資によるものだ。」
このように述べられています。
まさにエッセンシャル思考そのものであり、「余計なものに手を出すのではなく、重要なものだけに集中する」ことでウォーレンバフェットが世界一の投資家になれた1つの例がここに描かれています。
エッセンシャル思考が成功をもたらした例2
またこれは一個人にだけはてハマるものではなく、大きな組織にも当てはまる。
これもエッセンシャル思考で取り上げているものから例を出すと、「サウスウエスト航空」なんかがわかりやすい。
アメリカでは日本とは違い、移動の手段はもっぱら飛行機が主流。電車や列車というのは「貨物」という認識がアメリカでは一般的。
その中で当然のことながら、日本でいうANAやJALという大手航空会社が、市場を握っていた。
そこでサウスウエスト航空を創業したハーバートケレハーは、サウスウエスト航空が勝つために、「一切の無駄を排除した移動だけの航空会社」を立ち上げた。
僕らも本を買うときやCDを買うとき。
高いお金を出して新品を買うケースよりも、「見ればいい。聞ければいい」ということで安い値段を選択することがある。
でも、この中古市場がない時代は「高い値段の新品で買う」しか方法がなかったわけだ。
まさしくこのサウスウエスト航空ができる前のアメリカの空港事情と同じで。
だから値段も高くなかなか自由に移動することができなかったアメリカ本土だったが、サウスウエスト航空が「移動のためだけ」の飛行機を飛ばしてくれたおかげで、サウスウエスト航空が市場を一気に伸ばしていった。
すると当然、日本でいうANAやJALといった大手は真似て同じようなプランを出してくる。
これをマーケティング用語で「同一化戦略」といったりするけれど、わかりやすく言えば、大手企業の武器である「資金」を元手に「パクって潰せ」ということ。
この同一化戦略により、コンチネンタルライトという格安路線サービスをスタートさせたわけだが、これは全て失敗に終わる。
それは従来の通常路線と並行して行なっていたため、コストが削減できず、その上で発着陸遅れるなどしてクレームが相次いだことが原因だった。
要するに「無駄を排除しきれなかった」ため、徹底的に無駄を排除したサウスウエスト航空には勝てなかったということ。
一方で、徹底的に無駄を排除し、自分たちができることに全てを注いだサウスウエスト航空はそこから格安路線の中でかなり市場を伸ばし大成功した。
つまり、このエッセンシャル思考は「一個人」だけではなく「企業」という組織にも同じく当てはまるということ。
「本質を見抜き、そこに徹底的にフォーカスする」
今の日本の働き方において、最も重要なポイントだと感じざるを得ないのがこのエッセンシャル思考だということです。
「エッセンシャル思考」内容、中身
では実際にどうしたらこのエッセンシャル思考を取り入れることができるのか。
フラットに考えれば、少ない時間で成果を最大化させることができたらそれがいいに決まっているし、やりたいことだけに集中できればそれが一番に決まっている。
ただ、なかなか実現できないものまた現状です。
そこでこのエッセンシャル思考という本の中で、「エッセンシャル思考を取り入れるためには3つのステップ」があると解説しています。
それが
- 見極める
- 捨てる
- 仕組み化する
この3つ。
見極める
まずエッセンシャル思考を取り入れるために大切なのは「見極める」こと。
本当にそれは大切なことなのか。
本当にそれは大事なことなのか。
本当にそれは自分がやらなければいけないことか。
こういったことをきちんと見極めること。
これこそがこのエッセンシャル思考を取り入れるためのステップ1です。
この「見極める」というのは、この本でも取り入れられていますが、「厳しい基準において判断しなければいけない。」
そんな風に伝えられている。
「見極める」
そう聞くと簡単なように思える。
でも、簡単なように見えてなかなかできないのが僕ら人間だったりするのも現実です。
単純な話。
赤字が生まれている店舗があるのであれば、それはお店を閉めたほうがいい。
そうやって見極めることは誰にだってできる。
ただ往往にして実生活で襲ってくるのは、「利益が生まれているお店を閉めるか否か」という問題。
例えば、複数仕事をマルチタスクしているとき、1時間の仕事で100万円稼げるビジネスモデルAがある。
一方で、3時間の仕事をして30万円稼いでいるビジネスモデルBも同時並行してやっている。
もし仮に、10時間働いても赤字が続けばやめたらいい。それは見極めるのは一切難しくない。
難しいのは「3時間仕事をして30万円の仕事」をどうするか。
ここは赤字になっていないからこそ判断が難しいし、「マイナスじゃないから」と続けてしまう人が多いのも事実。
ただエッセンシャル思考において重要なのは「厳しい基準で判断すること」という風に描かれている。
つまりこのケースで言えば、1時間の仕事で100万円の仕事を請け負っている場合、その仕事を3時間に伸ばせば300万円の報酬になる。
一方で3時間で30万円の仕事を同じ3倍にしたところで、9時間で90万円という報酬になるため、時間に対する効果が低いことになる。
見極めるのが難しいのは、往往にして5大階評価のうち「4か3」です。
そしてエッセンシャル思考において、この「4か3」を見極めることができるか。
これが非常に大切になってくる。だから厳しい基準で見極めなくてはいけないということ。
だからビルゲイツなんかは、どれだけ忙しくても「必ず」考える時間を設けていることで有名です。
捨てる
そして見極めたのなら、ステップ2が「捨てる」
この捨てるも、赤字が出ている、もしくは結果が出ていないものなら捨てるのは容易。
難しいのは、多少なりの結果が出ているものを捨てるということ。
これができないからこそ、多くの人は「2割の重要なこと」に時間を割くことができないわけです。
ただこの捨てるにおいて、面白い話があって。
これはApple創業者のスティーブ・ジョブズがアップルをクビになったあと、ピクサーを立ち上げnextを創業したとき。
その業績が再度見直され、アップルも経営不振だったこともあり、NEXTを買収することでアップルのCEOを再び託されることになりました。
そこで今一度自分が作った会社の社長になったスティーブ・ジョブズが、一番最初に行った経営というのは「既製品7割の生産中止」でした。
まさしくこの「捨てる」に特化した戦略をスティーブ・ジョブズがアップル再建のためにした経営戦略だったということ。
もちろんこの7割の商品の中に、利益を上げているものも少なからずあったでしょうし、そこに従事していた部署の人たちもいたでしょう。
捨てることは勇気のいること。
しかしそれを捨てなければ、「本質は見えてこない」
だからこそステップ2において捨てる必要があるし、もっと言えばステップ1において厳しい基準で見極める必要があるということです。
仕組み化する
そうしてステップを経たのなら、それを無意識のうちに判断できるように仕組み化する。
これがエッセンシャル思考を自動的に自分の中に落とし込むための3つ目のステップです。
これは「3ヶ月で経営を回復させる」という命題を課せられた「ゴール」という本の中で描かれている例題を用いて説明することができます。
そのゴールという本の中では、工場の経営不振が続きもうすぐ潰れるという状況から3ヶ月で黒字にし直すというストーリーが描かれますが、その本の主人公は師匠から「ボトルネックを探すこと」を教えられます。
「もうすぐ潰れる工場のボトルネック。」
それがわからないでいる中、子供達を連れて山登りに行ったとき驚愕の事実目の当たりにすることになる。
それは歩くスピードがバラバラな子供達を「どのスピードで山登りすれば、日が暮れないうちに登れるか」として主人公がアテンドしている時。
早い子が先頭になって歩けば、どんどん差が離れ。
一方で遅い子が先頭になって歩けば、チームのスピードが落ちる。
その時に、一番遅い子を先頭にして歩き、遅い子の荷物を皆で分配するようにしました。
そうすることによって、チーム全体のスピードが上がり、日が暮れる前に登頂することができた。
この経験から「すべてが良くても1つダメなところがあれば、すべてダメになる。そのボトルネックを探し、改善しなければいけない」
ということを悟り、「ボトルネック」だった遅い子供を先頭に立たし、その上で荷物を軽くするという改善によって、チーム全体がより良くなることを知ります。
そこから経営を立て直すのが「ゴールという本」で描かれる内容なのですが、これこそがエッセンシャル思考においての仕組み化の重要な部分でした。
つまり
- ゴールを明確にする
- ボトルネックを特定する
- 邪魔なものを排除する
- この3つを順序化し、「習慣化する」
これこそが仕組み化する方法だということです。
「エッセンシャル思考」感想レビュー
もちろんこれ以上により深く、より細かく書かれているのがエッセンシャル思考なのですが、大まかな全体像は伝わったと思います。
また一度読んだ人も「そうだった」と改めて復習することができたんじゃないかなと思います。
成功している人はすべからく実践している。
それがエッセンシャル思考。
でも本当に大切なのは、それが実践できているかというポイント。
このエッセンシャル思考が難しいのは、「言われてみれば納得」という部分です。
要するに、簡単そうに見えて知っている気にすぐ慣れるのがエッセンシャル思考。
ただ、知っているだけで実践できている人が少ないのもエッセンシャル思考だということです。
当然「捨てる」というフェーズでは、相手からのお願いから断れないという風に仕事を請け負ってしまう人もいるし、嫌われたくないと思い恐怖を抱くことにもつながる。
このエッセンシャル思考ほど「知っている気になっている人が多い」分野はないかと思います。
ただそれぐらい効果は絶大なものだし、この考えを取り入れるか入れないかによって、劇的に生きていくのが楽になるものはないかと思います。
実際にこのエッセンシャル思考は、マーケティングの「ランティスター戦略」にもかなり似ていて、サウスウエスト航空のマーケティングなんかはランティスター戦略に代表される「弱者の戦略」をうまく駆使した例です。
今から考えれば「格安路線がないんだったら作ればいいじゃん」なんて安易に思えますが、当事者からすれば、「移動以外のサービスを全て無くす」というのは恐怖そのものでしょう。
なくせばうまく行かない可能性だって増えるわけですから。
ただ、その格安路線に特化したおかげでサウスウエスト航空も成功した。
この事実からも「いうのは易し行うは難し」というのが伺えます。
そしてこの本の本当に大切なところは最後の一文にあると思っていて。
その一文こそが「本質を知り本質を生きる」
まさにこの一言に集約されると思います。
生き方に関してもそうだし、仕事に対してもそうだし、ライフスタイルにしてもそう。
「本質はどこにあるか?」「本質を生きているか?」
ここを改めて痛感させてくれる本が、エッセンシャル思考という本なんだと感じました。
まとめ
- 見極める
- 捨てる
- 仕組み化する
考え方ひとつで生き方は楽にもなるし、苦しくもなる。
少しアドラー心理学にも似ている部分もあって、「哲学」という要素を含みながら、マーケティングという「ビジネス」という要素も含んでる。
そしてすべからく成功している人は、意識無意識問わずに取り入れているのが、まさしくこの本で描かれるところ。
「本質を知り本質を生きる」
「より少なく、しかしより良く」
これを実践して生きたい人は、ぜひ一読しておくといいんじゃないかなと思います。