【効果的なのはどっち?】フットインザドアとドアインザフェイスの違いとは。

今回はタイトルにある通り。

「フットインザドア」と「ドアインザフェイス」に関して面白いことを知ったので、それをシェアしておこうと思います。

よく交渉術や営業、セールスなんかで登場する心理テクニックのこの2つ。

でも疑問に思うのは、「どちらの方が効果的で効力が強いのか」ということ。

先に結論から言うと、「フットインザドア」の方が効果は高く、フットインザドアの効果は約4.5倍で、ドアインザフェイスの効果は約3倍という研究結果が出ています。

なので、どちらを優先的に使えば良いか?ということに対しては「フットインザドア」の方が効果は高いので、優先的に使うべき、と言う結論ができるわけですね。

フットインザドアもドアインザフェイスも心理学的なテクニックとして紹介されがちなオーソドックスな手法ですが、「効果の違い」を具体的な数値で表している記事はそうないので、紹介しておきます。

フットインザドアとは

具体的な解説に入る前に、フットインザドアを知らない人もいると思うので、簡単に概要だけは説明しておきます。

フットインザドアというのは、簡単に言えば「小さい要求からお願いしていく」というもので、小さいお願いをしていくことで、交渉の成功率を上げることができる、という心理学のテクニックになります。

1つ例を挙げておくと、お小遣いアップのお父さんの場合、いきなり「月1万円のお小遣いアップ」をお願いしたとすると、断られるケースが考えられる。

そのため、まず最初に「1000円アップ」のお願いをして、そのお小遣いアップを了承してもらった後に、3000円、5000円と徐々に値段を上げていき、目標の「1万円アップ」というゴールに結びつけるのが、フットインザドアというテクニック。

この手法を使うことで、いきなり「1万円」という高いハードルであれば失敗する確率が高いものの、徐々にハードルを上げていくことで、乗り越えやすくなり「YES」をもらいやすくなるというのが、この手法の肝になります。

ドアインザフェイスとは

その一方でドアインザフェイスというのは、フットインザドアの逆で。

「無理難題な要求から提示してから、本来通したい要求を提示する」というのが、ドアインザフェイスの方法になります。

これも1つ例題をあげておくと。

先ほど「お父さんのお小遣いアップ」を例にして考えた場合。

「1万円お小遣いアップ」が本来の目的であった場合、「5万円のお小遣いアップ」を先に提示します。

この要求を断られた後に「じゃあお小遣い1万円アップして」と本来の要求を通すことで、相手は「5万円から1万円なら良いか」というふうに感じ、要求を通しやすくなる、という心理テクニック。

みてもらったらわかる通りで、ドアインザフェイスはフットインザドアの逆バージョンということがわかり、両者はかなり似ているテクニックだということがわかります。

ということが、色々な記事やネット上に転がる情報ですが、問題なのは「どちらの方を優先的に使えば良いのか?」「効果が高いのはどちらか?」

ここが問題になる部分。

その「効果の割合」に対して、アンサーを伝えるのが本記事の目的で、結論は冒頭でも伝えた通り、「フットインザドア」の方が効果は高いので、小さい要求から徐々に上げていく方法を使った方が、科学的には正しい結論となっています。

フットインザドアとドアインザフェイスの比較実験

フットインザドアの効果は約4.5の上昇比率

これはアメリカで行われた研究で、その実験のモデルというのが、ランダムで決められた家々に「交通規制の看板を立てたい」という要求をおこなっていく、というものでした。

まず初めに行われたグループは、家の人に「交通規制の看板を立てさせて欲しい」という普通の要求を行なったわけですが、承諾してくれた割合は「約17%」であることがわかりました。

家の敷地内に看板が建てられるのを許可するというのは、普通に考えてもハードルが高く、五人一人以下の割合でしか承諾を得られませんでした。

その一方で、2つめのグループは「交通規制に関するシールを貼って欲しい」という小さい要求を行なったのちに、シールを貼ることに許可してくれた人に対して「交通規制の看板を立てさせて欲しい」という要求を行いました。

その結果、本来の目的である「交通規制の看板を立てる」という要求は、約76%の人が承諾してくれる結果となりました。

シールであれば、要求のハードルも低く、多くの人が賛同してくれたわけですが、フットインザドアのテクニックにある通り、徐々に要求のハードルを上げていくことで、成功率を約4.5倍にまで高めることができた、ということがこの研究では証明されています。

ドアインザフェイスは約3倍の上昇比率

その一方でドアインザフェイスの研究は、社会心理学のロバートチャルディーニが行った研究が参考になって。

この研究では、被験者として集めた大学生に「非行少年の引率をお願いする」ということを要求しました。

特に何もしていなかった場合、大学生が了承してくれた割合は、フットインザドアと同様に「約17%」という数字でした。

ただもう1つの被験者グループには「非行少年のカウンセリングを週2時間2年間行って欲しい」ということを要求し、その後に「非行少年の引率」をお願いしました。

要はそのままお願いしたグループと、ドアインザフェイスを行ったグループとで比較し、その割合を測定した、ということですね。

その結果、通常のグループの承認率は約17%でしたが、非行少年のカウンセリングを週2時間2年間行って欲しい」と無理難題をお願いした後に、本来の要求を伝えた場合は、承認率が「約50%」に上がっていることが判明しました。

結論:フットインザドアの方が効果は高い

という感じで、フットインザドアとドアインザフェイスで有名な研究を紹介してきましたが、それぞれ「普通にお願いするよりも効果的」ということは分かったかと思います。

どちらも要求を呑んでくれる割合が高くなったことが確認できるので、何もしないよりは良い、ということが見えてきます。

ただ重要なのは「フットインザドアとドアインザフェイスのどちらを優先的に使うべきか?」ということに関してで、その答えとしては2つの数字を比較することで見えてきます。

  • フットインザドア:約17%→約76%
  • ドアインザフェイス:約17%→約50%

両者とも通常にお願いした場合は17%だったものが、76%と50%ということなので、上がってはいるものの上昇割合から考えるとフットインザドアの方が承認率は高いので、「効果的」ということが言えそうです。

なので、何方かと言えば「ドアインザフェイスよりフットインザドアを優先的に使うのが科学的に正しい可能性が高い」ということが言えるわけです。

ただもちろんこれは前提条件や被験者のグループなど、両者のモデルに違いがあるので、「絶対にこっち」ということはありません。

ケースによってはドアインザフェイスの方が効果が高いケースもあるだろうし、フットインザドアが低いこともある。

なので、2つ知っておくことが重要であり、ケースによって使い分けるのが一番いい方法ではありますが、迷った場合は「小さい要求から徐々にハードルを上げていく」という方法を選択する方が無難だと言えそうです。

ぜひ参考にどうぞ。