今回はタイトルにある通り。
「ストレッチ」に関して、面白いことを知ったので、それをシェアしておこうと思います。
結構僕自身も、運動する前に「ストレッチをしないといけない」と言われて育ったので、これは意外な事実でした。
というのも、結構科学的にはストレッチは「効果がない」とする意見や文献的レビューがあったりして。
ストレッチをすることで「柔軟性」を手に入れたいケースの場合は、効果が期待できますが、運動に対する「ケガの予防」や「パフォーマンスの向上」に関しては、マイナス効果の方が強いのではないか、という意見さえあります。
その上で。
まず結論から言えば、今のところ「運動前にするストレッチ」に関しては、あまり効果が期待できず、「運動した後のストレッチ」には一定の効果がある、と言われています。
(今のところとしたのは、もっと研究が進んでいけば、論理が覆ることもあるため、「今のところ」という表現が一番正しい)
根拠
まずは根拠から。
これはガーズィ大学が行なった研究が元になっていて。
(※参考文献)
この研究では、被験者であるアスリート20人を対象にして4つのグループに分けます。
そのグループというのが、運動前に
- 45秒のストレッチ
- 30秒のストレッチ
- 15秒のストレッチ
- ストレッチなし
この4つのグループに分けて、その後筋力テストを行ってもらいます。
そのことによって、パフォーマンスの差を調べて行ったのが、このガーズィ大学の研究な訳ですが、意外なことに結果から言うと。
45秒のストレッチをしたグループというのは、平均してパフォーマンスがおよそ11%も低下している傾向にありました。
次の30秒ストレッチをしたグループは、足の筋力パフォーマンスは若干向上が見られたものの平均して+4%〜−8%の間のパフォーマンスとなりました。
若干パフォーマンスは落ちているという感じ。
そして15秒ストレッチを行ったグループは、全体的にパフォーマンスは上がる傾向を見せ、−1〜+8%パフォーマンスの向上が見られました。
この結果から見ると、長い時間(45秒以上)のストレッチは逆効果となる傾向にあり、短い時間のストレッチは若干の効果が見られる、という結果になりました。
もちろんこの論文では「アスリートの被験者20人」という対象なので、若干少ない気がしますが、これ以外にも統計的レビューなんかでも「ストレッチの効果」に関しては、否定的な論文が多かったりするため、結構懐疑的な見方が多くあったりします。
このガーズィ大学の論文を参考にするのであれば、運動前のストレッチは「15秒ぐらいの短いストレッチ」で十分だという風に解釈することができる結論となりました。
運動後のストレッチの効果
先ほど紹介したのが「運動前」のストレッチに対する効果でしたが、運動後のストレッチにフォーカスを当てて検証した研究が、2018年に早稲田大学が行なった研究で存在します。
(※参考文献)
この研究では、被験者20人を対象して行い、2つのグループに分けて検証しました。
1つ目のグループは、運動後に「週3回30秒のストレッチを6セット」行ってもらいました。
もう1つのグループは、運動後ストレッチなど特に何もしなかったグループ。
この2つに分けて、6週間後に筋力テストを行い、パフォーマンスの差に関して調査していきました。
この結果わかったのは、運動後に「週3回30秒のストレッチを6セット」行なったグループは、RFDと呼ばれる数値が20%下がっていることが判明しました。
このRFDというのは、わかりやすく言えば「瞬発力」を表すもので。
「重いバーベルを持ち上げる」や「瞬間的にダッシュする」といった、瞬発系の力は、ストレッチを行ったグループは、20%も下がっていることが明らかになりました。
一方で、ストレッチを行ったグループ「持久系」のパフォーマンスに関しては、約20%のパフォーマンスの向上が見られました。
つまり、運動後のストレッチというのは、筋力あげたい=「瞬間的な力」が欲しい人は、しない方がいいということ。
(筋肉的に言うと、速筋系ですかね)
一方で、マラソン的な「持久系」の力が欲しい人は、ストレッチをした方いいということが、この研究により明らかになったことでした。
(筋肉的に言うと、遅筋ですかね)
もちろんこの論文も対象の人数が20人ということもあり、若干被験者が少ないのは否めません。
そして、冒頭でも伝えた通り「今のところ」という見解は変わらないので、もしかすると今後覆るかもしれない。
ただ現状では、「運動前も運動後も、さほどストレッチにパフォーマンスを上げる効果はない」
ということが言われているわけです。
当然、ストレッチ自体に意味がないというわけではなく。
柔軟性や体を柔らかくする目的であれば、効果的かと思います。
ただここで言っているのは、「運動に対するパフォーマンス」への影響という意味でのストレッチで、ケガの予防やパフォーマンスの向上には、さほど影響しないのでは?ということが言われているわけですね。
まとめ
つまりまとめると。
運動前のストレッチは、15秒以上の場合、筋力テストのパフォーマンスは下がる傾向にあった。
15秒程度の短いものであれば、若干ストレッチの効果が期待できる可能性もある。
また、運動後のストレッチは、「瞬発系」の筋肉にはマイナス効果があり、「持久系」の筋肉にはプラスの効果が働いた。
まとめるとこんな感じですね。
振り返ると、結構皆が皆当たり前のように「ストレッチは大事」「絶対にやらないといけない」というものでもないことが明らかになって。
「目的別」にやるべきか、省くべきかの判断になるってことが、言えるんじゃないかなと思いましたね。
盲目的になってはいけないことが、この研究からわかったことですかね。
それでは。