今回はタイトルにある通りなんですが、キングコング西野亮廣氏の「夢と金」という本を読んだので、その感想を伝えていきながら、一応まだ読んでいない人のためにざっくりと要約していきながら、レビューしていこうと思います。
先に結論から伝えておくと、基本的に書いてあることはyoutubeなんかでも多く出回っているし、いろんなところで、キンコン西野自体が発信している内容の書き写しだったりする。
それこそ冒頭の「富裕層の生態系」での話なんかは、相方のカジサックのyoutubeチャンネルで武道館のサーカスというイベントを動画化したときに出てきた話と全く一緒。
飛行機の席として、ビップ席を用意しないとどうなるか?っていうことから、VIPの設計やらラグジュアリーへの追求なんかは、西野流の価格設定の哲学なんかがあったりするわけです。
なので、本独自の内容としては、後半のNFTなんかが一番濃度が濃いなっていう感じがしますが、基本的にはいろんなメディアで語られている話を、一つにまとめたっていう感じの内容って思っておいて良いと思いますね。
夢と金の概要
これ以上の考察やら感想やらは、後半部分に取っておくとして。
じゃあさっそく夢と金っていうのがどういった本なのか。
まだ読んでいない人やこれから読もうかな?って考えている人に向けて、ざっくりと要約していくと。
「夢と金は相反関係にない。金が尽きれば夢は尽きる」
冒頭にこう描かれます。
この本の主題ともつながってくるし、一貫したメッセージっていうのは、この「夢と金」に対する相反関係へのメッセージが一番伝えたい部分なんですね。
この本は3部構成になっていて、
- 富裕層の生態系
- コミュニティ
- NFT
この3章からなる本になっています。
(結構目次やあらすじから、本の流れを推測できる本が多い中、夢と金は結構木だけだとバラバラな内容の印象があったりしますね)
富裕層の生態系っていうのは何かっていうと、富裕層の生態系を理解していないとビジネス的に枯渇するよ、っていうこと。
また富裕層への優遇を民主主義的につぶしてしまうと、「貧困層に直接ダメージが来るよ」っていうことを意味していて。
それの例として紹介されるのが「ファーストクラス」や「ビジネスクラス」を除いた、飛行機の料金体系の例が本書では挙げられています。
要するに、ファーストクラスやビジネスクラスという富裕層へのサービスを取り除いて、一律一般席としたら、一般席の値段は上がり、貧困層へのダメージにつながる。
だから、富裕層の優遇っていうのは、「貧困層や一般の人」に向けても、大きな恩恵があるから、ひがみや妬みで足を引っ張っている場合じゃない、っていうことを主張したいわけですね。
まあ、この部分に関しては少し言いたいことがあるので、後半部分に考察を入れるとして、ここではこの辺で終わっときます。
コミュニティ
また次の章のコミュニティっていうのは、主にクラウドファンディングの話が出てきます。
要はコロナウイルスによって、接客業や飲食店は大きな打撃を受けて、多くのお店や企業がクラウドファンディングを活用していった。
ただ、クラウドファンディングのプロジェクトがうまくいくケースとそうじゃないケースっていうのは、はっきりと分かれる結果になっていって。
その明暗を分けたのは「コミュニティ」を持っているかどうかだった。
そんな話です。
この分野に関して、キンコン西野氏が一番得意とするところで、核心をついているなっていう風に思うわけですが、クラウドファンディングにおいて一番のハードルはなにか?っていうと、クラウドファンディングのサービス元への”ログイン”だという風に主張しています。
要するに、周りの人が「ログインしている状態」を作っておくことが大切で、最初からクラウドファンディングを否定していたり、周りが支援したくてもアカウントを一から作るというような状態だと、うまくいきようがない、ということ。
だからこそ、最初からコミュニティを設計し、「応援してくれる土台」を作ることが重要だっていう風に語られるんですよね。
NFT
そして第3章のNFTという章につながってくるわけですが、これも先ほどのクラウドファンディングと同様に「新しいものを否定していては、いづれそのサービスが主流になったときに、痛い目を見る」ということが念頭にあって、NFTというものをオープンマインドで触れて実験してみるということが推奨されています。
また、この章からは、あんまりメディアなんかでは語られていない「リアルな体験」が描かれるので、焼き増し感が少ない章です。
僕はそこまで西野ウォッチャーではないですが、それでも知っている話が多いこの本。
ただ、後半のNFTの章では、色々と知らない話が出てくるので、後半部分を読むだけでも面白いのかも。
んで。
これは憶測なんだけど、おそらく本人は一番このNFTの紹介をしたかったんじゃないかなって推測しますね。
夢と金を読んだ本音レビュー
ってな感じで、先ほども紹介した通り、
- 富裕層の生態系
- コミュニティ
- NFT
この3つの章からなるのが、この夢と金っていう本です。
当然良いところもあれば、悪いところもあるので、その両面から中立的にレビューをしていくと。
まず良いところっていうのは、やっぱり芸人さんでもあるし、毎日言語化しているからこそ、めちゃくちゃ読みやすいっていう部分。
難しいことを言っても、理解できなかったら、やっぱりそれには価値がないわけで。
これはこの夢と金に限らずですが、作家西野っていう部分の大きな強みかなっていう風には思いますね。
圧倒的な読みやすさ。
ライティングの部分も、ため口と敬語を使うバランスやタイミングが絶妙で。
夢と金っていうのは、他の本に比べて口調が「辛口」に書かれているわけですが、それもライティングのスキルの高さっていうのが、うかがえるポイントだったりします。
もう一つメリットというか、この本の良さを紹介すると。
やっぱり「実践ベース」っていうのは、大きなメリットかなと思いますね。
言っていることはありきたりだし、VIPへの価格設定だとか、フロントエンドバックエンドとか、そういう話は当たりまえっちゃ当たり前なんですけど、キンコン西野氏の話って、「焼き増し感」が薄まっている感じがします。
それはやっぱり、主張に対しての「証明が実践ベース」だから起こることなんですね。
それが主張も根拠も、誰かが言っていた話のパクリであれば、その本を読む価値はないし、すぐに離脱する。
最後まで読めるっていう意味でいえば、それはやっぱり「実践ベース話だからこそ、被りがない」っていうことであって、それだけある”行動力”っていうのが示している裏付けなんじゃないかなって思います。
この部分はやっぱりいいなっていう風には思いますね。
じゃあ反対にデメリットは?っていうと、やっぱり「目新しさがない」という点。
この部分は、ホリエモンしかり、キンコン西野氏しかり、残念な部分ではありますね。
要するに、youtubeだとか、オンラインサロンだとか、voicyだとかで、毎日喋っている内容を本にしているわけですから、基本的にそこでの内容がそのまま本に添削されます。
だからこそ、”この本だから知れた内容”っていうのが、ほぼ皆無になってきてしまっている。
そうなると「この本を買う意味って何?」っていう風になってしまうので、やっぱりこの部分はデメリットというしかない。
またもう一つのデメリットは、”未来への決めつけ”っていうのが、若干引っかかるなっていうのは感じました。
(まあ、ここら辺が、西野氏が宗教的っていわれる所以なんでしょうね)
”未来への決めつけ”っていうのが、若干引っかかるっていうのはどういうことかっていうと、科学的根拠がなく「未来はこうなる」って断言してしまうんですよね。
先ほども触れましたけど、”富裕層を優遇しないと貧困層も困る”っていう例で挙げられていた飛行機の座席の例え。
これに関して、歌舞伎で行われたプペルの舞台においても、同様にVIP席を設けたことで、一般席を安くできたっていう実例が語られますが、多くの人が疑問に思っている点って「VIP席の値段を上げた恩恵が一般席へ還元されるか?」っていう部分なんですよね。
よくVIP席が何十万円になって炎上したっていう話を例に出して、それは違うという風に反論しますが、その反論の内容に一理はあるものの、根底にあるのは”搾取”だったりするわけです。
(確かに「買わない人が文句を言っている」っていう部分はめちゃくちゃ一理あるし、買わない人が文句を言う権利はないというのは100%賛成ですが)
キンコン西野氏は実際にVIPでの売り上げを、一般席へ還元しているかもしれませんが、多くの企業はそうじゃなく、VIP席での売り上げを上げたとしても、一般席を下げずとも売り上げが上がるなら、無理に下げようとはならないわけです。
要するに、「その理論を悪用する人」まで現れてしまう中で、”絶対にそれが正しい”という風に科学的根拠もなく、断言する姿っていうのが、やっぱり引っかかるなっていうのは、少なからずあります。
(ドリームキラーの話とかもね)
NFTの話もしかりで、西野氏は絵本の所有権を数百万とかで売っている。
ただ、その価値が一瞬にしてなくなってしまう可能性だってある。
未来なんて誰にもわからないわけです。
なのに、”NFTは絶対に来る”という風に断言する当たりっていうのは、やっぱり引っかかるし、宗教的っていわれる所以なんだと思います。
とはいえ、やっぱり気になる存在なのは間違いないですし、何より”行動している”という点は間違いないので、読み物としては読みやすく勉強になるところもあります。
なので、気になる人は読んでみるといいんじゃないかなって思いますね。