今回はタイトルにある通り。
「もしあと1年で人生が終わるとしたら」を読んだので、まだ読んでいない人のためにざっくりとわかりやすく要約していきながら、その感想をレビューしていこうと思います。
まず先にこの本を読んだ感想を先に結論から伝えてしまうと、かなりお勧めです。
僕個人的にこういった類の「自己啓発」だとかって嫌いなんですよね。
だけどこの本はそういった自己啓発系とは少し違って、「人生に立ち止まって考える時間を与えてくれるきっかけ」になります。
「こうしろ」「ああしろ」ではなく、「これでいいのか?」「このままでいいのか?」
命令ではなく、気付きを与えてくれる本なので、僕的にはかなり面白く気づきをくれる本だと思いましたね。
3500人も看取ってきたからわかること
では早速この「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」を読んでいない人の前にざっくりとわかりやすく要約していくと。
この本を書いている著者の方は実際のお医者さんで、これまで3500人の人を看取ってきました。
(おそらく普通の自己啓発と違うと感じた部分はここにある)
こうして身近に「命尽きるその瞬間の人の感情」を見てきたからこそ、痛感し感じる部分と、「死ぬ人の共通点」が見えてきた訳でした。
そうして書いたのがこの「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」であって、そのメッセージが多く詰められている本になっています。
そしてこの「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」のメインテーマとなるのが、「人は死を実感したとき、新たなことに気づく」ということ。
だからこそ、この本のタイトルにもある通りで「もしあなたが1年後に死ぬとしたらどうしますか?」ということを一度考えてほしい、というメッセージがタイトルに込められている訳です。
自然の造形美に魅せられる
「人は死を実感したとき、新たなことに気づく」
これが大きなテーマとなってくる本ですが、この本の中で紹介されていて印象に残った「気付き」を紹介しておくと。
50代の方で肺がんと診断されて余命1年と宣告された人がいました。
その人は仕事一辺倒で、毎日家から駅までの道を何も考えずに通り、仕事に行く毎日。
その人は仕事人間だからこそ、仕事に生きがいと達成感を感じ、それまで何の不満もなかった。
ただあるとき「肺がん」を宣告され、余命は1年。
その事実を飲み込むまでに多く時間がかかったが、死を受け入れた瞬間に今まで気づかなかった多くのことに気づきました。
それは毎日のように歩く通勤道の途中。
アスファルトの脇から力強く咲いている花があって、それに気づいたとき「生命力」と「力強さ」に美しさを感じました。
それまで見向きもせず、気づきもしなかった花の美しさに、死ぬ間際になってようやく気づけた。
それから「空の青さ」「自然の壮大さ」そして「人間の小ささ」と「自然に生かされている」というふうに感じ、仕事一辺倒では絶対に気づけなかった別の世界観に気づけたことがエピソードとして挙げられています。
「こんな美しい世界に住んでいるのか」
そうやって死ぬ間際に体感したそうでした。
頑張りすぎなくていい
また「人は死を実感したとき、新たなことに気づく」ということの一つに「頑張りすぎなくていい」ということが挙げられています。
著者の方曰く、人は死ぬ間際になると必ず一人では世話ができない体になる、と。
排泄も食事もお風呂も、ほとんどが自分一人ではできなくなり、誰かの助けが必要になる。
ただ多くの人は「責任感」を人一倍持っていて、誰にも頼りたくないと死ぬ前は思っている。
ただし自分自身が死の淵側に立たされたときに、頼らざるを得なくなり、渋々頼っていく。
そう考えると、「死ぬ間際は一人では生きられないのだから、誰かに頼り自分が頑張りすぎない」ということも重要なのではないかと、と死ぬ間際の人は感じるそうです。
特に日本人の多くの人は「責任感」を強く持ち、人に頼らず迷惑をかけない、という教育を受けて育ちます。
ただ死というものを間近にしたとき、迷惑をかけないことは絶対にできないし、人に頼らないこともできない。
ならば、責任感という言葉に踊らされずに、自分一人で頑張らず、誰に頼ってもいいのではないか。
そういった気づきを与えてくれたそうです。
やり残したことはないだろうか
これまで「人は死を実感したとき、新たなことに気づく」として本書の中で紹介されているエピソードなんかを紹介してきましたが、おそらく僕ら生きている人へもっとも大きな問題になっているのが「やりたいこと」だと思います。
やはり死ぬ間際の人で多く言い残すことが「あのときああしてればよかった」というやらなかったことへの後悔。
だからこそ、死を想像することで、新たな気づきを経て、後悔しないように生きる、というのがこの本の処方箋という部分になってきます。
多くの人が死ぬ間際に後悔するという「あのときああしてればよかった」
この言葉にも「もしあなたがあと1年後に死ぬとしたら今何をしますか?」という質問が、あなたへの答えを探すヒントになる、とこの本では伝えています。
これはすごく的を得ていて。
というのも僕ら人間に平等にあるのが、時間であり「死」です。
誰にでも死は訪れるし、誰にでも時間は平等に過ぎ去っていく。
でも多くの人が「死」というのものをどこか他人事のように思い、目を瞑り現実から目を逸らす。
でも実際にそうしている内には本当に大切なことには気づけない。
なぜなら、終わりがないものに頑張ろうとは思えないから。
終わりというものや時間というものを意識するからこそ、そこに情熱を燃やしやり尽くそうと努力できる。
部活の引退試合や高校球児の甲子園なんかはそれに近いんじゃないかなと。
裏を返すと「死ぬこと」に関して自らが考えることによって、「やりたかったこと」「人生で大切にしている価値観」などに気付ける。
その魔法の言葉こそが、「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」という言葉なんですね。
その言葉を考え死を想像することによって、「新たなことに気づくことができる」というのがこの本の一番伝えたいメッセージなんじゃないかなと思います。
感想レビュー
とまあ、簡単ではありますが、めっちゃ大トロの部分だけをかいつまんで開設してきました。
気になる部分や共感する部分が多少なりあれば、一度手に取って読んでもらえればと思います。
冒頭にも伝えた通りで、気づきになる本なので、損はしないと思います。
んで感想の本題なんですが、僕的にやっぱりいい本だと思います。
というのも、こうした本のタイトルって、スピリチュアルとか自己啓発によりがちで。
根拠のないことをつらつらと並べ、どこかやる気が湧いた気になるだけの本って多いと思います。
ただこの本は実際のお医者さんとその患者のエピソードも盛り込まれていて、「死んだ人が何を思い、どう生き抜いたのか、そこで得た気づきとは」という先人の知恵とリアルな体験が入り混ざっています。
これがものすごく価値があるものだと思っていて。
極論僕らが生きる最大の目的って「幸福で死ぬこと」じゃないですか。
その一つの答えと間違えないための教訓が、散りばめられているんですよね。
そしてその答えの一端を担うのが「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」という言葉から多くの気づきが、余命宣告を受けずして考えるきっかけになる。
ふとしたときに立ち止まって考えるためには、うってつけの本だし、いいきっかけになるものだと思いますね。
あと個人的にお勧めなのは「旅行」ですね。
50代で肺がんを申告された人のエピソードを紹介しましたが、やはり旅行に行って自然を目の前に感じると、幸福感と高揚感に満たされて、本当になんとも言えない気持ちになるんですよね。
で、ダルがりな僕であっても、「せっかく旅行に来たんだから」ということで、観光地を回ったりとかなりアクティブに過ごせる。
これって「死ぬとしたらやっておかないともったいない=せっかく旅行に来たんだから行っておかないともったいない」に近いと思っていて。
自然の壮大さと死に際を体感できるっていう意味では、すごく旅行っていいのかなって思います。
あと、「今まで見向きもしなかった道が急激に景色を変えた」という肺がんの方のエピソードもすごく共感して。
それは僕が会社を辞めたときに、全くおんなじ感覚になりました。
それまでって「会社」っていう小さな場所や組織が全てだと思っていて、それ以外の世界ってあってないようなものだったんですよね。
全てが会社を中心とした生活で回っているって、本気で思ってた。
だけど、今日やめるって決まった帰り道、本当にいろんなことに気づいて「あぁ。今までいた世界ってめっちゃ小さな世界だったんだな」ってことに気付かされました。
それまでは人とすれ違うときって、人が「景色」でしかなかったんですけど、辞める日は、すれ違う人たちの顔が一人一人見えてた気がします。
ってな感じで、色々と共感する部分と考えさせられる部分とがいいバランスで折り混ざっていて、かなり面白く気付きになる本だと思いますので、気になる人はぜひ手に取ってみてください。