アダムオルター「僕らはそれに抵抗できない」を読んだ感想レビュー!

今回はタイトルにある通り。

アダムオルター氏が書いた「僕らはそれに抵抗できない」を読んだので、ざっくりと分かりやすく要約していきながら、その感想とレビューを書いていこうと思います。

この本、使いようによってはかなり為になる本かと思います。

あらすじ

まず本文を要約していく前に、まだ読んでいない人のためにざっくりとしたらあらすじを解説していこうかなと。

多くの人は「依存症」と聞くと、かなり暗い印象を持つかと思います。

アルコール依存症。

たばこ依存症。

などなど。

これらは健康に悪いし、これらの依存症によって「人生」を終わらせてしまう人も多くいます。

立ち直るため専門医を必要とするケースもあるし、何年もかけて依存症を克服するケースもある。

はたまた逆も。

こうして「依存症」と聞くと、多くの人は「怖い」と思うだろうし、僕自身も同様に思います。

ただ同時に「私自身は大丈夫」と思っている人も多いんじゃないかな。

「お酒は好きだけどアルコール依存症まで行っていない」だとか。

「タバコは吸うけど、1日1箱程度で納めている」だとか。

どこか「依存症」という病気は知りながらも、自分とは無関係だと感じている人が大半なんじゃないかと思います。

じゃあ言葉を変えて。

「スマホ依存」はどうですか?

また言葉はを変えて「SNS依存」といえばどうでしょう。

こう聞くと大半の人が「スマホ依存症」となっていることでしょう。

でも、このスマホ依存というのは「自覚症状」がなく、それと同時に「人生を破綻させるまでは至らない」という観点から、さほど気にも留めない人が大半です。

何が言いたいのかというと。

「アルコール依存」や「タバコ依存」という人生を破綻させかねない症状だけではなく、この世の中では「依存」というものが横行している。

しかもそれは「企業が設けるために意図的に組み込まれたもの」なんですね。

それがこの本のタイトルにある「僕らはそれらに抵抗できない」という言葉が表している意味、になるわけです。

当然企業側からすれば、「サービスや商品」に依存してもらったほうが儲けられます。

「apple信者」という言葉があるように、信者のようにその製品やサービスに依存してもらえれば、それだけ企業は儲けられるわけです。

つまり、今のビジネスや世の中というのは、いかに「依存症」を引き起こし、その企業を盲目的に応援してもらうか。

はたまた日常的にそのサービスを使ってもらうか、という観点が重要であり、依存させればさせるほど「稼げる」ということが言えるわけです。

そのためユーザーに依存させるように、裏で様々な施策が施されていている、ということなんですね。

そのロジックをニューヨーク大学准教授のアダムオルター氏が、この本の中で6つのテクニックと称して解説してくれているわけです。

6つのテクニック:目標

じゃあその企業が、僕らユーザーに依存させるためのテクニックとはいったいどういったものがあるのか。

そのうちの1つが「目標」です。

これはゲームで考えるとわかりやすくなります。

さらに言えば、ゲームというのは「ゲーム中毒」という言葉がある通り、「依存性」の高い遊びの一つ。

このゲームにも当然「依存させるための手段」が盛り込まれているわけですが、そのうちの1つが目標になります。

この目標は、ゲーム内における「ミッション」なんかが挙げられていて。

ゲームでは自然と次から次へとミッションが訪れます。

この目標を乗り越えると、僕らは「達成感」を感じることができます。

これが脳内で「気持ちいい」と感じられるホルモンが分泌されるため、よりゲームに没頭するようになる、ということ。

逆に、何にも目標がないゲームなんて誰もやろうとしない。

また、全クリアしたゲームはもうつまらなくなってしまう。

要するに、ゲームは自然と次から次に「目標」を与え、それをユーザーに乗り越えてもらうためのプログラムを組み込んでいるわけです。

6つのテクニック:レベル

次に「レベル」

言葉を変えると「成長」ですね。

なぜRPGなどには「レベル」という指標があるのか。

これは「成長を可視化する」という大きな役割があるからです。

僕ら人間というは、実は「お金」や「権力」がモチベーションを与えているのではなく、「自信が前に進んでいるという実感」こそがモチベーションにつながることが分かっています。

どれだけ頑張っても成長が見えなければ、やる気なんてわきようがない。

そして実生活においても「レベル」は見えるわけがない。

ただ一方で「ゲーム」においては「レベル」が見えるようになっています。

このことにより「どれだけ成長したか?」が可視化されるため、「前に進んでいる」という実感を感じることができるようになっています。

この前に進んだ、という感覚がモチベーションを生み出し、ゲームに対するさらなるやる気を創出するわけです。

6つのテクニック:難易度

続いて難易度。

この難易度というのは、「その時のレベルにあった障壁」のことを意味していて。

例えば、RPGのゲームをプレイしていて、まだ全然うまくもないのに、ラスボスが最初に出てきたら、全然前に進めなくなります。

つまり要所要所で、その時にあった「難易度」が重要になってきて。

ゲームなんかではこの「難易度」がうまい具合に設定されています。

「ちょっと背伸びをしたら乗り越えられる障壁」をゲーム側が演出しているわけです。

簡単すぎたら、それはそれで飽きる。

難しすぎたら、それはそれで諦めてしまう。

要するに難易度が適正だからこそ、それを目標にして、乗り越えられたときに「レベル」と「自信の成長」を実感できる。

そのために「適切な難易度」が盛り込まれているわけですね。

6つのテクニック:ランダムな報酬

続いてランダムな報酬。

これは言葉の通りで、「報酬」がもらえると人は、盲目的に喜んで、また報酬を欲してしまう、というもの。

これまでずっとゲームで例えてきましたので、趣向を変えて「SNS」で例えていくと。

ツイッターやインスタグラムなんかで、投稿をしたときにもらえる「イイね」。

まさしくこれがランダムな報酬です。

投稿したら友人や知人から「イイね」と反応がもらえる。

それがうれしくて、また投稿したくなる。

こういった報酬が僕らを依存性のあるものへと導いてくわけです。

そして。

もし仮にイイねをもらえる数が「100」で固定されていた場合。

「ランダムな報酬」とはならないので、飽きてしまうでしょう。

スマホゲームの「ガチャ」も、ずっと同じキャラクターが出てくれば、もうガチャを回すことはないでしょう。

つまり報酬というのは「ランダム」だからこそ、「もう一度やりたい」という衝動が生まれるわけです。

6つのテクニック:クリフハンガー

続いて「クリフハンガー」

これは「劇的なシーンの途中で終わる」ということを意味していて。

これはよく「ドラマ」なんかでされている演出ですね。

ドラマなんかでは「次が気になるいいところ」で、いつも終わります。

そうすることで僕らは「次の展開を見たい」という感情に襲われます。

だからこそ、「次も見たい」とそのドラマやアニメなんかに没頭するわけです。

テレビだと「依存症ビジネス」としての認識が薄いかと思うので、「ネットフリックス」なんかをイメージするとわかりやすいかもしれません。

ネットフリックスは定額制なので、登録し続けてくれればくれるほど儲かります。

クリフハンガーを使い、「いいところで終える」ことによって、「次回も見る」ということを繰り返してもらうことで、ネットフリックス自体に依存させ、定額サービスを利用してもらう。

このように依存性を高め、儲かるビジネスは出来上がっていくわけです。

6つのテクニック:社会的相互作用

そして最後は「社会的相互作用」

これを簡単に言い換えると「社会とのつながり」を意味しています。

この典型は「SNS」が分かりやすいと思いますが、僕らは特に用事がなくても「SNS」を開いてしまう。

それは友人の近況や知人の状態を知りたいからです。

これこそが社会的相互作用と呼ばれるもので、僕らは無意識的に社会とのつながりを求めています。

SNSでは、そのつながりをうまく作り出すことで、依存性の高いビジネスを生み出す、「スマホを開いたら見てしまう」ように作り上げているわけです。

感想レビュー

とまあ、ここまででざっくりではありますが、この本の大トロの部分である「依存性を高めるために企業が行っているテクニック」を紹介してきました。

もちろん本書では、もっと細かいところや事例を交えて解説しているので、気になる人は見てみてほしいんですが、大筋だけ理解したい人にとっては軸となる部分は伝えましたので、ある程度理解できたかと思います。

んで。

ここから僕なりの感想やレビューを伝えていこうかと思うんですが、これまでの「6つのテクニック」を見ていくと、多くの人は「そんなひどいことをしていたのか」と思う人も多いと思います。

確かにいろいろな企業は裏で、僕らに依存させるべくビジネスを設計させています。

ゲームやSNSなんかはその典型ですね。

ただ僕はその依存性のあるテクニックを「自分のために」使うことが、最も重要であり、この本を利用する一番の方法かなって思ってます。

本書でも出てきますが、「テクニックを自分に応用する」ことが、この本から知れる一番の重要ポイントだと思います。

例えば「ゲームエフィケーション」というテクニックが科学的に今研究されています。

これは「ゲームに没頭するかのように仕事にハマる」などの意味を持っていて。

ゲームって「脳がブレーキをかければ死ぬほどハマるもの」です。

もちろん絶対に死んではいけないですが、もしそれが「自分が突き詰めたいもの」で、応用できるとしたら、それってすごくないですか。

「好きじゃない勉強をゲームのようにのめりこめるようになる」

「好きじゃない仕事がゲームのように楽しめる」

これらができたら、どれほどすごいことか、想像に難しくないと思います。

そしてまさしくこれが「ゲームエフィケーション」というテクニック。

この「僕らはそれに抵抗できない」という本は、このゲームエフィケーションのテクニックを解説した本、という風に再定義することができるんですね。

具体的に言えば、

  1. 目標
  2. レベル
  3. 難易度
  4. ランダムな報酬
  5. クリフハンガー
  6. 社会的相互作用

これらをうまく活用することによって、どんな分野でも「ゲームのようにのめりこめる」ようにできる、ということ。

これってものすごい価値のある情報化と思います。

たとえば。

勉強をするなら、社会的相互作用として「友人と高めあう環境を作る」ということでもいいですし。

クリフハンガーを活用し、「キリが悪いところであえてやめる」ということを応用してもいい。

また、目標を具体的に設定し、ポイントを割り振り、「自分を主人公」のようにし、「レベル」を数値化してもいい。

また、難易度を徐々に上げていき、「少し頑張れば乗り越えられる難易度」を設定するように仕向ける、ということもありです。

そして、ある一定のレベルにまで達したら、「ご褒美」を用意し、ランダムな報酬を組み込んでもいい。

このように、「全く好きじゃないジャンル」や「興味がないこと」であっても、やらくなくちゃいけない仕事や勉強を「ゲーム化」する方法が、この本にはあるわけです。

僕が感じたのは、この本を読んで「依存性のあるビジネスに気を付けましょう」ということを伝えるのが本質ではなく。

本をどう生かすかは、その人の自由ですが、この本を読んで「すべての物事をゲーム化し、それにのめりこむゲームエフィケーションを学ぶ」ことが、実生活において一番重要なメッセージかと感じました。

ぜひ参考にどうぞ。