今回はタイトルにある通り。
「努力は裏切らない」なんてよく聞く言葉ですが、この努力は結構裏切ることが判明したって話を知ったのでシェアしておこうと思います。
最後には、「努力の方法」に関して伝えておくので、みてみてください。
根拠
まず努力に関しての大元になるのが、93年にエリクソン教授が出した論文が元になっている1万時間の法則。
この1万時間の法則っていうのは、要するにプロフェッショナルな人たちの練習量を研究した結果「合計1万時間」練習していることがわかって。
そこから「プロフェッショナルになるには1万時間練習すればなれる」っていう風に、あらゆる本の中で蔓延したのがきっかけ。
僕もこれをみて知っていました。
ただ、この1万時間の法則に関して、出たのが93年がきっかけだったりしたので。
そこから研究が進み、結構否定的な意見が広がって行ったのが最近の科学の話。
よくよく調べてみると、天才と呼ばれる人は、そこそこの凡人の人に比べ、練習時間が短いことがわかったりしていて。
この練習時間=スキルの向上なのであれば、この天才の練習量の少なさを説明することができないわけですが、こう行ったことがわかってきているわけです。
んで。
この1万時間の元ネタになった論文を、同じ形で追跡研究したのが、ケースウェスタンリザーブ大学で。
そこでわかったのは、「練習量とスキルとの相関性は、93年の論文ほど見られなかった」ということでした。
このリザーブ大学では、努力=時間量と謳っている「1万時間の法則」と同じ方法をとり、3種類のバイオリニストを集めました。
このバイオリニストのスキルをわかりやすく、Sランク、Aランク、Bランクとわけ、科学者が「どれぐらいバイオリンを練習したのか」などといったインタビューを行います。
その結果、1万時間の法則が提唱された際には、努力とスキルとの相関性は48%見られたのに対して、再調査を行なった結果、26%の相関性しか見られなかったそうです。
つまり、努力は裏切らないっていうことを裏切られたことが証明されたということ。
更に言えば、上記で伝えた通り、天才やスキルが優れている人よりも、凡人の方が練習しており、時間数は多かったということもわかっていたということでした。
この練習量とスキルとの相関性の割合が48%と26と開きがあったのは、93年の論文に問題があるとされていて。
要するに、Sランク、Aランク、Bランクと分けられたバイオリニストをインタビューする科学者が「どのランクの人なのか知っていた」とされています。
どれぐらいスキルがあるのかを事前に知ってしまっていれば、自然とバイアスがかかってしまうため、客観的なデータを取れません。
そのため、優遇して調査した結果、努力とスキルとの関係地が48%と26%と開きが出てしまったわけです。
リザーブ大学の追跡調査では、その「事前に知っている」というバイアスをなくすため、インタビューするバイオリニストが「Sランク、Aランク、Bランク」のどのランクかは知らずに行い、その公平性を担保しました。
ですから、リザーブ大学の研究の方が信憑性が高く、より「努力は裏切る」ということが言える研究だということ。
努力とレベルの相関図
またこの1万時間の法則に限らず、努力とスキルレベルとの相関図は、結構いろんな研究でわかり始めてきています。
例えば2014年にプリンストン大学が行なった調査で分かっているのは、ジャンルごとに努力時間とスキルレベルとの相関性が異なることがわかっていて。
ゲームは努力が与える影響は26%
音楽は努力が与える影響は21%
ここら辺はまだいい方で。
勉強に至っては努力が与える影響は4%
専門職に至っては努力が与える影響はわずか1%
という結果がプリンストン大学からは出てたりします。
つまり遮二無二に時間をかけて努力をしても、成果に結びつく可能性はあまりなく、「どう効率的に学習するか」また「どう努力を行っていくか」ということの方が重要になってくるということ。
更には昭和の時代にあったような「気合だ」というような根性論や「とにかくやれ!」というパワープレイのようなやり方は全くもって非科学的だということがわかるわけです。
解決法
では、どんな努力を行っていけばいいのか。
当然努力することが悪いことでは決してなく。
そして無駄だということでは決してありません。
「正しい努力」「正しい練習方法」
これの方がより大事になってくるわけで、とにかく時間をかければいいという1万時間の法則に由来した練習法は全くもって否定されているわけです。
そうなった際に重要となってくるのは、「転移」。
もちろんジャンルや職業によっても、努力の仕方ややり方は変わってくるでしょうから、一概には言えませんが、この「転移」に関しては、どのジャンルにおいても万物に影響があるとされているものです。
この転移というのは、「物事やスキルをより早く上達させるためのコツ!これ以外必要ないってぐらい。」
こちらの記事でも紹介していますが、「どのジャンルにも応用が効く能力」のことで、この転移が起こる際に重要な力というのが「ワーキングメモリー」だとされています。
科学的には、「間違った努力をするより、このワーキングメモリーを鍛えた方が、はるかに他のジャンルに転移が起こるし、効率的だ」とされているもの。
このワーキングメモリーとは、短期記憶のこと。
短期記憶が高ければ、物事を収納しておけるスペースが広いため、「どんな分野でもより多くのことを覚えておける」からこそ、いろんなジャンルにおいて技術習得やスキル向上に一役買ってくれると言われています。
だから、分野やジャンルにおいて、正しい努力ややり方というのは千差万別あるにしろ、どの分野においても共通するのが、この「ワーキングメモリー」だとされているので、その能力を伸ばして行った方がいいということ。
そんなワーキングメモリーの鍛え方も、上記記事に詳しく書いているので、ぜひ参照して見てください。
上記記事に書いた「どの範囲まで転移が起こるのか?」ってのは結構面白い内容です。
例えば、「囲碁が上手い人は暗記力が高いのでは?」だとか。
「テニスが上手い人は野球もうまいの?」だとか。
この応用性のことを転移と呼ぶわけですが、この転移の起こる範囲を科学的に調べた内容を記事にしました。
ぜひ合わせて見て見てください。