今回はタイトルにある通り。
「人間関係や対人関係の悩み」に関して面白いことを知ったので、それをシェアしておこうと思います。
先に結論から伝えておくと、人間関係や対人関係の悩みを解決するための科学的な方法として「リメンバー療法」というものが存在していて、この方法を行うことで、
- うつ症状の緩和
- メンタルの回復速度の上昇
こういった効果があることが分かっています。
なので今回はリメンバー療法やその効果、そして根拠について解説していこうと思います。
人間関係の悩みを解き放つリメンバー療法の効果
ではさっそく。
リメンバー療法とはどういうものなのか。
そして効果はどれぐらいあるのか。
この辺りを解説していくと。
これはイギリスのエクセター大学が行った研究がもとになっていて。
この論文では、人間関係に悩みを抱えた50人の被験者を集め、ある実験が行われました。
その実験というのが、人間関係に悩みを抱えるようになった出来事についてなるべく具体的、かつ詳細に思い出してもらう、というもので。
どれぐらい具体的なのかというと、
- トラブルのもとになったきっかけはなにか
- ケンカやトラブルとなり、どう感じたのか
- どんなことを言われたのか
- そして相手にどう言い返したのか
- 相手の表情はどんな顔をしていたのか。
- 相手の声のトーンはどんな声色だったのか
こういった人間関係の悩みの元になった原因を、その相手と出来事と共に、なるべく詳細に被験者に思い出していってもらいます。
そして思い出してもらったこの状況や情報を紙に書いていってもらい、この行為を約6週間行っていってもらいました。
その後、研究者たちは被験者のメンタルの状態や精神状態など、あらゆる面を観察し、状態の変化を確認していきました。
すると面白いことが判明して。
この「人間関係や対人関係でのトラブル」を詳細に思い出し、紙に書き出すという行為をした被験者は、メンタルや精神面において回復していることが確認され、うつ症状の緩和も確認されました。
また、壊れた心やすたれたメンタルの回復力を指す「レジリエンス」の評価も高まっていることが確認され、より良い精神状態であることが確認されました。
つまり、人間関係の悩みは具体的に思い出し、それを紙に書き出すことによって「メンタルが回復する」ということが、このエクセター大学の研究によって明らかになった、ということなんですね。
そして「人間関係の悩みは具体的に思い出し、それを紙に書き出す」ことこそが、リメンバー療法だということでした。
なぜ具体的に思い出すと悩みやメンタルが回復するのか
では次に。
なぜ具体的に思い出し、紙に書き出すことによって、メンタルや精神状態が安定するようになったのか。
これは「記憶のメカニズム」が原因ではないかとされています。
一見すると、怖いものには蓋をするということのように、トラウマや嫌なことというのは思い出すことで悪化してしまうように感じます。
ただこれは「記憶が美化する傾向にある」ことが原因で、中途半端に思い出してしまうことが原因だとされています。
よく言われることですが、別れた彼女彼氏との思い出が良いものばかりと思い込むのは、「記憶が良いものしか残さないようにしている」のであり、それは僕らの生命を維持するうえで欠かせないメカニズムだからです。
当然付き合っているときはケンカしたり、「こいつのここは嫌いだ」と思うこともあったでしょうが、別れてしまうとそれらの原因も一緒に忘れてしまいます。
ただ一方で、リメンバー療法のように「具体的に詳細を思い出す」ことによって、思い出として美化されていた記憶が客観的に思い出され、冷静になって物事を考えることが出来ます。
「確かに楽しい思い出もあるが、苦しい時間が長かった」
「価値観が合わなかった」
「あいつと結婚していたら絶対にうまくいかないとあの時思った」
このように良い思い出だけではなく、当時感じた「悪い記憶」も思い出すことが出来るためリメンバー療法が効果的になってくるわけです。
その反面中途半端に思い出してしまうと「良い思い出」だけが反復されてしまうため、思い出補正のかかった主観的な記憶が呼び起こされます。
そうならないために、「具体的に詳細を思い出す」ことが重要であり、そのことを紙に書き出すことで、エクセター大学の研究にあった通りメンタルや精神面の改善につながったわけです。
また付け加えておくと、嫌な経験やトラウマに関して「受け身」であるかどうかによっても、その対応が変わってくることが分かっていて。
上記のコロラド大学の研究でも報告されている通り、「自ら不安や恐怖に向かっていく」という攻めの姿勢を取る被験者ほど、不安や恐怖に対して強い傾向があることが分かっています。
このこともリメンバー療法が効果的であることの原因だと考えられます。
要するに、「自らで嫌な経験を思い出す」ということで、その悩みに対して真摯に向き合うことが出来るようになった、ということですね。
上記で紹介しているピッツバーグ大学の研究なんかがその典型ですが、お化け屋敷に生かされる人と自らで行く人の心理を研究した結果、「自らお化け屋敷に行った人」のほうが精神ストレスが少ないことが分かっています。
このことからも人間関係や対人関係のトラブルにおいては、
- 自ら改善しようと努める
- なるべく具体的に思い出す
この2つの姿勢とアクションが重要になってくる、ということが見えてくるわけです。
まとめ
少し長くなったので最後にまとめておくと。
人間関係や対人関係の悩みやトラブルを解決する心理療法は「リメンバー療法」。
このリメンバー療法の具体的なやり方は、トラブルの原因となった出来事をなるべく詳細に思い出し、紙に書き出すこと。
思い出し紙に書くということを、なるべく6週間ほど行うことで、
- 精神面
- メンタルケア
- レジリエンス
- うつ症状の緩和
上記の効果が確認されている。
このリメンバー療法が利く理由は、
- 自ら嫌な経験に向かう姿勢
- 思い出補正をなくし、客観的に物事を判断できるようになる
これらが原因として考えられている。
まとめるとこんな感じですね。
ぜひ参考にどうぞ。