今回はタイトルにある通り。
「思い出すだけで腹立たしい過去への向き合い方」に関して、面白いことを知ったので、それをシェアしておこうと思います。
結論から言うと「氷水に手を突っ込む」ことによって、どんなイヤな過去であってもストレスから解放され、緩和されることが分かっています。
64人を集めて、氷水に手を入れてもらった結果
まずは根拠から解説していくと。
これはニューサウスウェールズ大学で行われた研究がもとになっていて。
この論文では、64人の被験者を集めていき、被験者全員に「過去の怒りの場面」を思い出してもらいました。
思い出すだけで怒りがこみあげてくるシーンを思い出してもらうわけですが、この次に2つのグループに分かれてもらいます。
1つ目のグループが「氷水に手を突っ込む」グループ。
もう1つのグループが「何もしない」グループ。
この両者に分けて、ストレスレベルやそれを代表するコルチゾールなどの数値を測定していき、どういった変化があるのかを確認していきました。
その結果わかったのは、過去の思い出や体験を思い出し怒りのレベルが高まった状態において、何もしないグループよりも「氷水に手を入れたグループ」のほうがストレスレベルが低下しており、コルチゾールも減少している傾向にあることが分かりました。
コルチゾールというのは、言わゆるストレスとの相関性が確認されていたりする成分で、その成分が低下していることなどを含めると「氷水に手を入れる」行為というのが、怒りやアンガーマネジメントに効果的である、ということがこの研究により明らかになったのでした。
なぜ氷水に手を入れると怒りが収まるのか
では次に気になるのが、「なぜ氷水に手を入れると怒りが収まったのか」という部分。
体が冷えるから、脳も総じてクールダウンした、という端的なものではなく、もう少しきちんとした理論がそこにはあって。
研究者もむやみやたらに「氷水に手を入れると怒りが収まる」ということを、検証したかったんじゃないんですね。
詳しく解説していくと、結論「痛みのオフリセットリリース」という現象が起こったため、ストレスが低減し怒りが収まったことが原因だとされています。
怒りのオフセットリリースというのは、要するに「怒りが上書きされた」ということを意味しているわけですが、そもそも僕ら人間の脳の構造として「1つの物事してか思考できない」という存在であることが分かっています。
1つのことに集中しているときは他方のことは考えられず、脳の構造上「1つのことしか集中できない」ということが分かっています。
よく聞く伝説として「聖徳太子は10人の会話を聞き比べた」という逸話がありますが、現代の科学では、おおよそ考えられないこと。
聖徳太子とは全くの真逆というのことが、現代の科学では言われていることですが、今回の研究において「過去に起こった嫌な思い出」を思い出しているときというのは、「イヤな気持ち」という1つの思考に集中していることを指します。
その状態から「氷水に手を入れる」ということを行うことによって、「イヤな気持ち」という状態から、「冷たい手」という方向に脳の思考が移り、上書きされます。
この状態を「怒りのオフセットリリース」というわけですが、先ほども伝えた通り「1つのことしか考えられない」ため、「過去にあったイヤな気持ち」が「冷たい手」にシフトしていき、怒りが徐々に収まった(=ストレス低減につながった)ということが考えられるわけです。
よく落ち込みやすい人やメンタルが弱い人というのは「切り替え下手」で、メンタルが強い人は「切り替えが早い」という風に言われますが、それは言い換えると「イヤな出来事をどこまで引きずるか?」ということと同じ話。
しかし、氷水に手を入れることのように、「怒りを意図的に上書きする」ことによって、強制的に「思考を切り替えること」につながるため、ストレス低減や怒りの抑制、アンガーマネジメントにつながった、と考えられるわけです。
アンガーマネジメントをする4つの応用方法
ただ当然イライラするシーンや怒っている場面に「氷水」があることは稀だし、なかなか氷水に手を入れることをそのまま使うのは、難しい話。
しかし、先ほどの怒りのオフセットリリースという原理を知っておけば、十分に応用が可能です。
例として考えられるのは、シンプルに「氷」などを手に掴むことであっても、怒りの上書きは可能なので、氷水よりはやりやすいかと思います。
後は、脳の思考を強制的に切り替えることが出来れば、ある種何でも応用が利くので、「全力で運動する」ということでも応用が可能です。
実際に「全力で運動する」というのは、上記で取り上げた「スタンフォード式疲れない体」の本の中でも紹介されているやり方で。
疲労を取り除くのにも効果的であることが分かっています。
ストレスや怒りと疲労や疲れを2つ一気に取り除けることを考えると一石二鳥なので、かなりおすすめかと。
後、その場で瞬時に「イライラを収めたい」というときに使えるのが、「腕をつねる」といった方法も効果的です。
氷や運動などは、状況やシーンにおいては結構難しかったりしますが、「腕をつねる」のであれば、いつだって可能。
そのうえ、「痛み」というのは、怒りのオフセットリリースとして上書きされやすいので、「その場でできるオフセットリリース」としては優秀かと思います。
このあたりの応用方法を見ていくと、見えてくるポイントがあって。
それは「痛みが継続して続くもの」としては、あまりお勧めはできないということ。
まあこれは当然の話で、「強制的に怒りの矛先を変える」ということが、ニューサウスウェールズ大学の研究内容でした。
買えた怒りの矛先が「ずっと続く」というのであれば、新たな怒りの内容でさらにストレスが増えるので、あまりお勧めはできない。
ポイントなのは、「すぐに終わるもの」で、「身体的である」ことがポイントで。
身体的であればあるほど、「危険度」は高くなるので、怒りのオフセットリリースがされやすくなります。
そして上書きされた怒りやストレスが、すぐに終わることで思考がリリースされるため、リセットしていく。
なので、すぐに終わることと、身体的であることがポイントになってくるわけです。
この2つを押さえておけば、割といろいろな方法で応用が可能なので、いろいろと考えてみることをお勧めします。
まとめ
ちょっと長くなってしまったので、最後にまとめておくと。
怒りやストレスを感じた時に、「怒りのオフセットリリース」を利用すると、アンガーマネジメントにつながる。
怒りのオフセットリリースとは、過去の怒りやイライラな状態を「上書きする」ことを指す。
人間は物事を原則1つしか考えられないため、オフセットリリースをし上書きをすることによって、ストレスや怒りが低減する。
具体的には、
- 氷水に手を入れる
- 氷を握る
- 激しい運動をする
- 腕をつねる
こういったことが挙げられ、状況やシーンによって使い分けることが可能。
まとめるとこんな感じですね。
ぜひ参考にどうぞ。