今回はタイトルにある通り。
キンコンの西野さんが書いた「ゴミ人間 日本中から笑われた夢がある」を読んだので、その感想とレビューを書いていこうと思います。
結論から言ってしまえば、「書いてあることもどこかで読んだことあるし、この本は映画が公開する前の宣伝のための本。だけどそれでも読む価値はある」
そんな風に感じました。
初めに
まず初めに伝えておかなくてはいけないことがあって。
それは僕自身キンコン西野が好きで。
本自体も魔法のコンパス、新世界、革命のファンファーレなどを持って読んでいる。
キンコン西野のオンラインサロンは入っていないけれど、youtubeなど西野亮廣エンタメ研究所の音声も聞いたりしてる。
このブログでは、本をレビューする時は基本的に「中立」な立場で客観的に伝えている。
だからAmazonリンクやアフィリエイトリンクなんかも張っていない。
ただ、この「ゴミ人間」という本に関しては、キンコン西野に対して「好き」っていう感情があるから客観的に伝えるのが難しくって。
初めにそれを伝えておこうと思います。
どこか贔屓目に見ているシーンもあるかもしれない。ただ、それをあえて「さん付けしない」ってことで中和させているので、そこを踏まえておいてもらえると助かります。
感想レビュー
まず冒頭に伝えたこの言葉。
「書いてあることもどこかで読んだことあるし、この本は映画が公開する前の宣伝のための本。」
この言葉の真意から話していくと、実際にこの「ゴミ人間」の内容って、おおよそ革命のファンファーレだったり、各メディアでしゃべっていることが内容の大半を占める。
25歳でテレビから軸足を抜き、タモリさんから「絵をかけ」と言われて絵本作家になった。
絵を描くようになって、テレビをやめ「ひな壇に出ない」といったら、芸人仲間から驚くほど批判を受けた。
その批判を受けながらも、コツコツ何年もかけて書いた1作目の絵本は全く売れなかった。
芸人仲間から「あいつはもうオワコンだ」といわれた。
それでも書き続けた。
おおよそキンコン西野を知っていて、本を読んだり、話を聞いたりすれば、何度も出てくる言葉。
そのほかにも
- 認知と人気
- オンラインサロン
- SILKHAT
- チケット手売り
- ニューヨーク個展
- 華丸大吉の30万円支援
これらの話題も出てくるけど、そのほとんどが既出の話で、この本だけで知れた内容じゃない。
比較的新しめの内容であっても、「立川志の輔師匠」の話もインタビューで答えているし、ファーストペンギンとリーダー論も話している。
振り返れば、個人的に「ノンちゃん」の話と、「立川志の輔師匠のラストの一言」だけは知らなかったな、という印象。
「あとオンラインサロンも入っていないんで、歌舞伎と能の話は知らなかったな。でもそれぐらい。)
これだけ見れば体感的に「8割以上」が、これまでの書籍やインタビューなんかで答えていて。
ふたを開ければ、本を書いているから引き出しの手前に入っている内容だから、ほかでしゃべった内容と感じれるシーンとも読み取れる。
さらに言えば、このゴミ人間は「映画えんとつ町のプペル」という映画の宣伝のための本。
以前、ホリエモンと元橋本府知事とが「大阪都構想」について話しているとき。
「大阪都構想に関しての本を書いていたら、構想は現実になった」とホリエモンが伝えていましたが、まさに「ゴミ人間」は、そのための布石の1つ。
そんな風に感じます。
でも僕は最初の1行を読んだ瞬間「だけどそれでも読む価値はある」と感じて。
その1行というのが「毎日、朝7時から翌朝4まで働いています。」
この1行からゴミ人間は始まります。
僕自身この1行を読めただけで、この本に価格以上の価値を感じました。
今でこそ成功していて突き抜けた感じのするキンコン西野。
それを見て多くの人が「有名人だから。」だとか「才能があるから。」だとか、タンを発する。
でも、その根底にあるのは「血のにじむ努力」が間違いなくそこにはあって。
本書では「地味な努力」として紹介されていますが、創作活動のほとんどが、地味な努力の時間。
それをこなしたから、今の活躍がある。
それに僕自身は胸打たれるんですよね。
今でこそフューチャーされ、「成功者」と奉られる。
奉られた時は、「華やかしい世界」だけど、そんな今でもほとんどが地味な努力の積み重ね。
自宅の一室を作業場として「アトリエ」と名付けているのがキンコン西野っぽいけど、「今日も朝から晩まで家から出ずアトリエにこもっている」そんなワードが出てきます。
もうこれだなって。
多くの人が「どうしたら成功できますか?」だとか、「どうしたらクラウドファンディングでうまくいきますか?」だとか。
そういったことを求める。
その期待に応えるために、最低限の知識と道筋を本書でも書いている。
でも、「知っている」と「できている」は違う。
「ドブ板営業」と名の付く、本当の泥をすすっているのかでも話は違ってくる。
自らでチケットを手売りしたり。
絵本のビラを作り、自らで1万部配ったり。
非難されるのを覚悟で、モリを持って「クラウドファンディングお願いします」と頭を下げたり。
そうした根底に、今のキンコン西野が成り立っている。
比べるのは申し訳ないけれど、僕自身も学生のころ「ポスティング」の仕事をしたことがあって。
1万枚配るのは容易じゃない。ポスティング禁止の地域が多い東京ならなおさらのこと。
しかも、その人は少し前まで「テレビに出てた有名人」であり、その光景を見られたら「落ちぶれたな。あいつ必死か。」といわれるのは必至。
それでも「これしかやれることはない。やれることは全部やる」と言葉の通り、泥水をすすってきた。
そんな行動に、やっぱりどうしても感動せざるを得ない。
それが最初の1行の「毎日、朝7時から翌朝4まで働いています。」この言葉に表れている気がして、「内容は知っているけど、それでも読む価値がある」と僕は感じたんですね。
売れた今でもそれは続けていて。そしてそれが根底に流れていて。
それでも映画という世界では「不安」はぬぐえなくて。
そのうえ「コロナ」が襲ってきて、さらに先行きは不安になって。
もがいてもがいて。でも「できることは何でもやる」と決めた。
それは「星なんかないとバカにされた世界に、星があると信じた少年のストーリー」を映画でやるのだから、製作総指揮の自分が「恐れて何になる」と感じているから。
これは確かHYDEさんが歌ったプペルの曲のメイキング動画だったと思いますが、手伝いに参加してくれた方やカメラマンなどのスタッフさんに、深々と「挨拶をする」キンコン西野がすごく印象的で。
今でこそかなり発言力も増したと思うのに、その低姿勢を見た時、すごくギャップを感じました。
それと同時に「多分これって前から変わってないんだろうなぁ」っていう風にも思いました。
それはこのゴミ人間という本のサブタイトルにもある「日本中から笑われた夢がある」という言葉にも同じことが言えるんだろうな、と。
自分自身は変わっていない。
世界一面白くなりたいし、やるんだったらとことんやりたい。
でもいつしか常識や他人の価値観に左右され、折り合いをつける。
その時に、「俺も折り合いをつけたんだから、お前もあきらめろよ」とささやかれる。
そうでもしないと、「俺らが捨てたゴミが、実は価値があったものなのかもしれない」から。
突拍子もないことを言ったら他人からバカにされて。
実績が出てきたら、手のひらを返し、褒めたたえられて。
でも今も昔も変わらず根底には、コツコツと誰よりも積み重ねた「努力」がある。
そんなことを「毎日、朝7時から翌朝4まで働いています。」この最初の1行から感じました。
だから、「書いてあることもどこかで読んだことあるし、この本は映画が公開する前の宣伝のための本だと知っている。だけどそれでも読む価値はある」
そんな風に感じたんですね。
終わりに
ってな感じでこのゴミ人間を読み終えた感想をつらつらと書いてきたわけですが、もうちょっとだけ付け加えておくと、最後の「君へのメッセージ」というのがやっぱり熱くって。
映画も素人なんだから、右も左もわからない。
だけど「誰よりも働く」ことはできる。その努力で挽回する。
その気概が全体を通してこの本から読み取れることですが、最後にその気概を「あなたへ」ということでメッセージが寄せられています。
最後の章は「僕はハッピーエンドにしか興味がない」といっていることからも通ずるように、やっぱり心温まりますね。
厳しくもあり、でも優しさもある。
素敵な人だと感じました。
確か近大の質疑応答でも答えていましたが、キンコン西野が書く本って、言葉をめちゃくちゃ選んでるんですよね。
だから、わかりやすいし読みやすい。
どの本も読みやすくって、ゴミ人間に至っては1時間ちょいぐらいでもすべて読み終えられます。
なので、ちょっとでも気になったら本と、あと映画も見てみてほしいなって、勝手に思ってます。
それでは。