今回はタイトルにある通り。
「判断力」に関して、面白いことを知ったので、それをシェアしておこうと思います。
僕らは生きているうちに、必ずといっていいほど「決断」をしています。
朝起きてから何を食べるか、夜ご飯をどうするか、飲み会に行くかどうか。
こうした判断力を求められて生活しているわけですが、失敗する確率や割合が多くなればなるほど、怖くなる決断。
そんな大切な判断する力を高める方法を、しかも一瞬で上げる方法を今回は紹介しておきます。
結論から言うと「1つ1つ情報を見ていく」ということをするだけで、僕らの判断力が上がることが分かっています。
判断力が急激に低下する条件
まずは根拠から。
これはマサチューセッツ工科大学が行った研究で、被験者を集め、社会保障番号の下2桁をとある紙に書き込んでもらいました。
その後に、高級チョコレートの写真を見てもらい、「いくらなら買いますか?」といった質問を被験者の人にしていきました。
すると面白いことが判明して。
社会保障番号の下2桁が大きな数字であればあるほど、写真で見たチョコレートを「高い金額でも買う」と答えたのでした。
またもう1つ面白い研究を紹介しておくと。
これはアメリカで行われた研究ですが、数百人集めた被験者を2つのグループに分けます。
その後に「お見合いパーティー」に参加してもらうわけですが、1つ目のグループは「美男美女の写真」を見てもらった後に、お見合いパーティーに参加してもらいました。
もう1つのグループは特に何もせずにパーティーに参加してもらったわけですが、お見合いパーティー終了後に両者のグループに「参加者の外見を判定してもらう」ということを行いました。
すると、お見合いパーティー前に「美男美女」を見たグループは、何もしなかったグループに比べ「外見の判定が約30%も低い採点」だったことが判明しました。
バイアスで判断力が失われる
先ほど紹介した「社会保障番号とチョコレート」の研究と、「お見合いパーティー」との研究とに共通する項目が1つあって。
それは「前後の比較」によって、僕ら人間はバイアスがかかり、正常に判断することができない、ということ。
これが2つの研究によって分かっていることです。
振り返ると、当然社会保障番号とチョコレートの値段とに相関性はないわけですが、チョコレートの値段をつける前に「社会保障番号の大きい数字」を見てしまったことで、バイアスがかかってしまいました。
そのことによって、チョコレートの値段が大きくても買う、という通常の判断よりも誤った決断をしてしまった。
またお見合いパーティーも、事前に美男美女を見たことによって、見た目の判定も厳しくなっていった。
要するに、前後の比較によってバイアスがかかり、正しい判断ができない状態になっていた、ということが言えるんですね。
例えば、車を買うとき。
100万円以上が車の価格では普通です。
この100万円を払うと決めたのなら、1万円ぐらいのオプションは逆に安く思えるでしょう。
ただ一方で、「1万円のおにぎり」と聞くと、めちゃくちゃ高く感じる。
それは事前に「100万円の車に1万円のオプション」ということや「おにぎりは通常100円程度」というバイアスがかかっているため、同じ1万円でも「安い高い」と判断してしまうんですね。
判断力を高めるためには
こうしてバイアスがかかることで、僕ら人間は正常な判断ができなくなっていくわけです。
ではどうしたらいいのか。
今回の「前後の比較」によってバイアスがかかるケースでは特にですが、「ワンアットアタイム」という方法が効果的で。
このワンアットアタイムというテクニックを活用することで、平均して2~30%ほど判断力が上がった、という報告があります。
なので、ワンアットアタイムというテクニックを活用することで、判断力を上げることが期待できるわけですね。
ワンアットアタイムというのは、簡単に言えば「1つ1つを見ていく」というもので。
先ほどの「前後の比較」のように、「パッと全体を比較してみる」のではなく、1つ1つを間をあけて吟味することによって、間違った判断をしづらくなる、というものです。
例えば「転職活動で次の会社をどうするか?」といった決断をしている際。
多くの人は
- A社:年収300万円
- B社:年収420万円
- C社:年収500万円
このように羅列して比較してしまいます。
こうしてしまうと、先ほどのバイアスの話にある通り正常な判断をすることができなくなってしまうため、単純に「C社が優れている」と決断しかねません。
そうではなく。
A社は年収300万円だが、前職の経験を生かせる職場であり、スキルを多分に応用できる職場。
B社は年収420万円だが、前職の経験を生かせる職場だが、出張が頻繁にある。
C社は年収500万円と一番高いが、ほとんどが未経験の業種で、スキルを活かせない可能性がある。
こうして1つ1つを見ていくことがワンアットアタイムであり、バイアスに支配されず正しい判断をする方法です。
1つ1つを時間を空けてみていくことでも、正しい決断や判断をするのに効果的ですので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
少し長くなったので、最後にまとめておくと。
僕ら人間は前後に得た情報から、無意識に比較して検討してしまうため、判断力を低下させる傾向にある。
そのためワンアットアタイムというテクニックを使い、1つ1つを時間を空けてみることで、バイアスを無くし正しい判断をする必要がある。
端的にまとめるとこんな感じですね。
最後にちょっとだけ僕の個人的な感想を伝えておくと。
少し前に生物学の本を読んだときに、「人間に分かりやすいように平均や物差しといった単位を付けた」という話がありました。
動物で一番足が速いのは?だとか。
動物で一番強いのはだれ?だとか。
これらって僕ら人間が決めた尺度で、人間が見やすいようにするために作り上げた1つの空想です。
だから動物界や生物界にナンバーワンはなく、すべてがオンリーワンだと。
比較する必要や平均という単位、偏差値といった基準は存在しないと。
今回のバイアスに関して知ったとき、この言葉を思い出しましたね。
誰が頭がいいかだとか。どの大学が優れているだとか。
その物差しとして平均や偏差値などが用いられますが、そのことによって変なバイアスが生まれていく。
もちろん人間にとっては便利なことに違いはありませんが、それに飲まれてしまうのは避けなければいけない。
そんな風に思いましたね。
余談でした。