今回はタイトルにある通りなんですが、スペースデータ代表取締役の佐藤航陽さんの「世界2.0」を呼んだのでその内容を分かりやすく要約していきながら、レビューしていこうと思います。
著者の佐藤佐藤航陽さんは早稲田大学を中退して、起業し、20代で上場企業を作った社長。
(確かメタップって会社だったっけな?)
そんな方が、今最も力を入れている技術メタバース。
先に結論を言っておくと、メタバースって何?っていうこのバズワードを理解するためには、個人的にこの一冊で良いかな?っていう感じがしますし、結構よくまとめられている本だなっていう感じはしました。
ただ、こういうビジネス書の難しいところっていうのは留保しつつも、事実として存在するテクノロジーと思想や想い、願望っていうのがミックスしてしまっていて、わかりやすく言えば「都市伝説」と「近未来」っていうのが混合している感じもあるので、その部分は留意して読む必要があるかな?っていう感じはしました。
ただ何度も言うように、「メタバース」っていうことを理解する上では、3分野に分けて理解する必要があり、それぞれ全く別の技術を土台にしているっていうのは、かなりわかりやすくカテゴライズされた説明だと思うので、メタバースを理解する上ではかなりいい一冊なのかなっていう風には思います。
メタバースとは
じゃあさっそく。
まだこの佐藤航陽さんの「世界2.0」を読んでいない人、もしくは子のレビューを読んだ後に、気になるようだったら買おうと思っている人もいると思うので、ざっくり要約していくと。
佐藤航陽さんの「世界2.0」っていうのは、サブタイトルにもある通り「メタバースの歩き方と創り方」っていうサブタイトルがついているので、超ザックリ行ってしまえば、
- メタバースとは何か
- メタバースが世の中に浸透していったときの未来
- メタバースを構築するための作り方
こんな感じで、設定されていて。
この世界の在り方が変わるっていう意味で、「世界2.0=Ver2」っていう意味でタイトルがつけられています。
その上で、じゃあ一番初めの「メタバース」っていうのはどういう意味なのか。
ここを抑えておくと。
めっちゃわかりやすく言えば「仮想空間」のことをメタバースっていう風に言います。
ブロックチェーン、NFT、VR、、、
様々な言葉や技術があるようにしていて、すごくまどろっこしい感じがしますが、仮想空間のことをこの本ではメタバースと定義しています。
んで。
冒頭にも伝えた通りですが、いきなりバズワードとなったこのメタバースという定義を皆があまりにも自由に使っているので、いろんなテクノロジーや技術をごちゃまぜにしてしまっているため、メタバースが何かわからなくなっているのが現状です。
今現状でいえば、
- 3DCG
- NFT
- VR
主にこの3つがメタバースとして取り上げられていることが多くて、著者の佐藤航陽さんはいづれを3つに区分する必要があるという風に言っています。
これがめちゃくちゃわかりやすくって、それぞれは全く異なった技術やテクノロジーを使っているため、3つに区分できるわけです。
NFTなんかはブロックチェーンというテクノロジーを活用して、複製可能だったインタネット上に、価値を与え、売買ができるようにしたもの。
これをメタバース(=仮想空間)上で、売買をしているため、一つの枠組みではあるものの、一色淡に比べると混合してしまうっていう感じなんですよね。
またVRと3DCGっていうのも似ている感じがしますが、VRっていうのはオキュラス社をはじめとした「ハードウェア」が必要になってきます。
このVRをもってメタバースという風に言ってしまうと「VRゴーグルは流行らない」っていう風になっていってしまうので、議論も全く持って進まないということになっていってしまう。
その一方で3DCGというのは、VRゴーグルなどのハードウェアに依存することなく、マルチデバイスでログイン可能なサービスを指します。
この本の中でもたびたび出てきますが「フォートナイト」などがまさにこの3DCGに区分されていて、今やほとんどのゲームが3DCGの技術を使ってゲームが生み出されています。
著者の佐藤航陽さんは、まさにこの「3DCG」という技術を中心としたメタバースに力を注いでいて、3DCGという技術が世界を変えていくという風に言っているんですね。
つまりメタバースとは「仮想空間」のことであって、メタバースを構築する技術がそれぞれ色々とあり、それがブロックチェーンであり、NFTであったり、3DCGであったりする。
その中で「世界2.0」では、3DCGの技術に焦点を当てており、3DCGの技術が世界を変えていくっていうことが、この本で描かれる部分っていうことになっています。
メタバースはどう世界を変えるのか:個人のケース
じゃあ次に。
メタバース、3DCGはどのように世界を変えるのか。
ここが次に気になるところ。
この「世界2.0」では、3つの区分によってそれぞれ変わっていくという風に語られます。
それが
- 個人
- 企業
- 国家
この3つ。
そしてそれぞれ「個人→企業→国家」という順番で、世界は変わっていくという風に語られています。
というのも、この変化する速度は「背負えるリスク」に依存していて。
個人がメタバースに触れて失敗しようと、そこまでリスクではないですが、国家がメタバース事業などを始めて失敗したとすれば、それは何千万人という単位にまで被害が広がるわけです。
ですから、「背負えるリスクが少ない順」に物事は変わっていくし、メタバースの浸透もこの順番だという風に著者の佐藤さんは語ります。
振り返ってみると、インターネットが登場したときもそうでしたし、数あるテクノロジーを見ていくと基本的には、上記の順番で世界が変わっていくことは理解に難しくないと思います。
その上で、「個人」単位ではどう変わっていくのか。
僕的に衝撃だったんですが、最近の学生なんかでは「学校から帰ってきたら、とりあえずフォートナイトにログインする」っていう風になって言うらしいんですね。
そして友人とゲームするというよりかは、ゲームを通して「コミュニケーションを図っている」っていうんですね。
要するに、個人間の間では「コミュニケーションが変わる」という風な、大きな出来事の変化があると語られるんですよね。
今まではSNSなどを通した2次元のコミュニケーションだったのに対して、メタバースの世界ではインターネットは3次元空間になっていき、コミュニケーションすることはイコール「3DCGの世界に入って行うもの」という風に変化していくし、現実にそうなっているっていうんですね。
実際に僕自身もそうなんですけど、ゲームはオンラインでよくしたりします。
んで。
オンラインで一緒にゲームをするっていう風になる時もあれば、ゲームにログインして、話だけして終わるっていうシーンも結構あったりします。
ゲームが居酒屋的な空間を提供しているっていう感じなんですよね。
居酒屋ってお酒を飲みに行く場所っていうよりかは、お酒を飲みながら話す場所っていうコミュニケーションの方が重要度は高いわけです。
つまりフォートナイトやAPEXをはじめとしたゲームも、居酒屋のお酒と同様に「合ってもなくても変わらない=空間の提供」ということに意味合いが変わってきていて。
将来的には、脳とメタバースをつなげられるようになれば、まさにマトリックスのような「ヴァーチャル空間で暮らす世界」というのも来るかもしれないという風に言われているわけです。
メタバースは世界をどう変えるのか:企業や国家のケース
もちろん上記のようなマトリックスの世界っていうのは、脳の神経回路とデバイスとの融合だったりするので、まったく別の技術革新が必要になります。
だから、マトリックスの世界=メタバースと理解してしまうと「そんなものはあり得ない」という風になっていくし、どんどんと都市伝説に話が寄っていってしまうわけですが、あくまで「3DCGの技術」があれば、新しい空間=世界を作れるというのが、この本の主題テーマです。
んで。
この中で先ほど
- 個人
- 企業
- 国家
この順番で世界は変わっていくという風に伝えたわけですが、個人的にはこの後の「企業や国家」の方が僕的には好きだったりします。
じゃあメタバースが普及したときに、企業や国家はどう変わっていくのか。
このメタバースの主軸になっている技術は3DCGの技術だと、この「世界2.0」では描かれるわけですが、簡単に言えば「仮想空間に新たな世界」を生み出せるわけです。
新たな世界を生み出せるということは、逆に言うと「地球」を作ることができるわけですね。
例えば人工衛星からグーグルストリートビューのように衛星データを送ってもらい、そこからリアルな地球を描く。
現実に今は佐藤さんの会社では渋谷区や港区というように、日本の都市をバーチャル化していくようなサービスがあったりします。
この空間の中で、自動運転を指せて「コースをAIに学習させる」ということができたりします。
また、都市開発をする際にも、ビルを新しく建てた場合に「景観がどう変わるか?」「日差しはどういう変化になるか?」といった未来構想の趣味レーションを仮想空間上で行えるんですね。
今現状でいえば、自動運転なんかは「事故が起こったらどうするのか?だれの責任になるのか?」といったことなどの「障壁」があってなかなか前に進まないテクノロジーが山のように存在します。
それを「仮想地球」や「仮想東京」を作ったうえでシュミレーションすることによって、ある程度の未来が見え、データを収集できる。
そうすることで、政治の政策や都市構想、都市開発などの意思決定をする役に立つ。
そうしたことが企業や国家におけるメタバースで期待されていることなんですね。
佐藤航陽さんの「世界2.0」を呼んだ感想レビュー
めちゃくちゃざっくりではありますが、簡単に要約していきました。
本当にいろんなコンテンツがあって、そこに挟まれているエピソードなんかも結構面白くって、紹介しきれないんですよね。
それぞれ独立したテクノロジーがあって、それをメタバースという総称出呼ぶようになった後に、FacebookがMETAに社名を変えた後、爆発的に普及した背景であったり。
セカンドライフというメタバースの前進があったが、失敗した経緯から「今回もうまくいかないのでは?」ということがささやかれる中、現代ではインフラとハードウェアの両方が革新的に成長しているので、セカンドライフとは状況が違うという話であったり。
後はインターネットが情報の民主化であれば、メタバースは「神の民主化」ということであったり。
技術オタクが(ギーク)興奮しているが、民衆はさっぱりっていう今この状況が一番ビジネスチャンスがあるということであったり。
はたまた、35歳以上になると新しいテクノロジーを拒絶するような性質にあり、皆には理解されないことでどういった被害を被るのか?=メタバースという新しい概念やテクノロジーを否定せず、いかに受け入れるかが成功するポイントということが、実際の仮想通貨の取引所買収の案件を逃した過去から導いた経験談であったり。
メタバースというものの背景や日本が持つコンテンツホルダーとしての有利さ、そして今ある「宇宙空間」と「仮想空間」という最後のフロンティアをいかに開拓していくか?という重要性であったり。
本当にいろんな話が出てきて、結構面白い本だなっていう風に思いました。
ただ個人的には、そこまでメタバースっていうのは、大きなウェーブにはならないんじゃないかなっていう感じがするんですよね。
ブロックチェーンも本当に革新的な技術ですし、先ほどの「情報や神の民主化」ということでいえば、「お金の民主化」が起こったのもブロックチェーンの技術があってこその話です。
ただ、FRBや日本銀行をはじめとしたさまざまな障壁があって、「暗号資産」という形でとどまっているのがビットコインをはじめとする仮想通貨の現実だったりします。
こんな感じで、メタバースは元より「3DCGの技術」っていうのは、めちゃくちゃ面白いんですが、そこまで革命的な技術にはなりえないんじゃないかなっていう風には思っていて。
そもそもSNSがこれほどまでに流行ったのは、「習慣に落とし込む」ことに成功したためです。
ロンドン大学の研究でもあったりしますが、人間の習慣に根付かせるためには、いくつか条件があって。
それが「アクション的である」ことや「高頻度である」っていうことが求められることが分かっています。
SNSっていうのは、情報を自分の手で「スクロール」して情報をキャッチしに行くし、1日何度も開いてチェックするように設計されています。
だから、皆が知らずのうちに「SNSを開くのが当たり前」という習慣として定着した結果、爆発的に広がっていったっていう背景があるんですよね。
他方で、ゲームを入り口としたコミュニケーション空間っていうのが、今後のコミュニケーションツールとして流行っていくか?っていうと、習慣として落とし込むにはハードルがめちゃくちゃ高い気がするんですね。
僕自身例えばオンラインでゲームして、ゲームしながらコミュニケーションを行うってことはやっていますが、ゲームにログインするっていうのは「まとまった2時間~3時間確保出来たら」ログインするっていうのが現状で。
今のツイッターやインスタグラムのように「隙間時間にログインする」っていうのは、難しい現状にあるわけです。
そうなると「アクション的である」ということや「高頻度である」っていう、人間の元からなかった習慣を定着させるっていうことに関しては、ハードルが高いんじゃないかなっていう風には思います。
VRゴーグルが流行らないのと似たような理由ですし。
それこそイーロンマスクが開発しているニューラリンクなどの、脳とデバイスをつなげて仮想空間に没入するっていう世界線であれば、世界が変わるほどの革命が起きると思いますが、そこまで話が飛躍するとそれは「都市伝説」の領域に入ってくる話なので、ちょっと難しいなと。
(技術的には近いところまで行くと思いますが、最低限の長い時間がかかる話であり、不確定要素が多いので、都市伝説って表現をしています)
だから、この本が面白いってことと、メタバースの浸透っていうのは分けて考えなくちゃいけないなっていう風には思います。
ただ、個人的にこのメタバースや3DCGの技術で一番面白かったのは、この佐藤さんが「なぜ3DCGの技術に熱狂しているのか」っていう芯の部分で。
それは「仮想空間に宇宙を再現する」っていうことを目標にしてやっているんですね。
それがめちゃくちゃ面白くって、個人的にはこっちに熱狂します。
僕的には「宇宙の再現」はできないとは思うんですけど、「地球の再現」は全然可能性あると思うんですよね。
それこそウクライナ戦争で初めて「人工衛星」の重要性が語られましたが、グーグルのストリートビューなんかからデータを収集し、地球のどこでも見れるという技術が存在します。
おおよそ4000機ほど人工衛星を打ち上げると、ほぼリアルタイムで地球を観測できるんですね。
そしてこの人工衛星から送られたデータをもとにして、3DCGの技術によって地球を映し出す。
つまり、仮想空間に地球を再現できるっていうことなんですよね。
そうすると何ができるか?っていうと、災害のシュミレーションであったり、ミサイルが打たれたときにどう対応すればいいのか?という対策につながる。
また、人の流れもデータ化して投影できるわけですから、政策を仮想空間の中に入れてみて、どういった変化が起こるのか?という実験もできる。
それぞれ今では「特区」という形で、限られた場所で実験的に政策なんかを行ってみてデータを収集し(ベーシックインカムなど)、政策のかじを切るわけですが、「データ数の少なさ」や「特殊な環境下」過ぎてデータの正確性などが正確じゃないっていうことが問題としてあるわけです。
それが仮想地球を作り、「人工衛星などを通じて、リアルタイムかつ正確なデータ」をもって検証できれば、めちゃくちゃスムーズに意思決定ができるようになる。
これはすごくいいなって思いますし、そうした裏から世界を変える技術になるんじゃないかな?っていう風には思います。
革命って聞くと、iPhoneの登場なんかを筆頭に、世界が激的に変わったことを指したりしますが、厳密には「動的革命」と「静的革命」の2種類が存在します。
動的革命は先ほどのiPhoneの例で挙げましたが、それこそセブンイレブンなんかがこの静的革命をよく起こしています。(ATM導入、扉の無いアイス売り場など)
メタバースっていうのはひょっとすると静的革命なんじゃないかな?って個人的には思っていますね。
この部分が「世界2.0」とは少し違う部分としての感想だったりしますが、新テクノロジーに触れると想像力が掻き立てられるし、新しい未来にどんなテクノロジーが存在するのか希望が持てたりするので、一読しておくといいんじゃないかなって思いますね。
結構面白いおすすめ出来る本でした。