今回はタイトルにある通り。
「頼み事が断られづらくなる方法」に関して、面白いことを知ったので、それをシェアしておこうと思います。
結論から言ってしまうと、その魔法のフレーズというのは「ちょっとお願いしてもいいですか?」
この一言をいうことによって、断られづらくなることがわかっています。
ほんのちょっとの工夫で、本当に効果があんのか?って感じる人もいると思いますが、詳しく解説していきます。
根拠
これは心理学者のボーン教授が行った研究が元になっていて。
その書籍なんかでも紹介されていますが、「駅前でバインダーを持ちアンケートに答えてもらう」ということを被験者にお願いしました。
しかもこのアンケートは長ったるしく、気軽にはできないようなアンケートでした。
このアンケートを駅前で歩く人たちにお願いするわけですが、お願いの仕方を2つのパターン用意し検証していきました。
- アンケートをお願いしてもいいですか?
- ちょっとお願いを聞いてもらってもいいですか?
この2つのパターンを用意し、アンケートを回答してもらうということを行った結果、1つ目のパターンがアンケートの回答率が57%だったのに対して。
ちょっとお願いを聞いてもらってもいいですか?とアンケートの前に「お願い」を挟んだ場合は、84%も回答して持ったことが判明しました。
結果的におおよそ27%もアンケート回答率が高まったことが、この調査によって判明したんですね。
なぜ「お願いしてもいいですか?」を挟むと受け入れてもらいやすくなるのか
ではなぜ。
普通に「アンケートを答えてもらってもいいですか?」とストレートに聞いたケースと「お願いを聞いて持ってもいいですか?」とワンクッションおいたケースとでは、回答率に違いが生まれたのか。
これは「内的動機づけ」というものが関係しているとされています。
「内的動機づけ」というのは、僕ら人間は「意思を自由に決めたい」という欲求が存在し、選択をコントロールしているという感情が、幸福感やモチベーションに影響していることがわかっています。
上記で紹介している記事のデューク大学の研究でも、同じような研究結果が発表されています。
また、別の研究でも同様で。
子供を対象にして行った研究では、「絵を描いている子供」に対して、「そのまま描き続けてもいいよ」と促した子供と、「上手い絵を描いたら賞をあげるね」としたグループとに分けた場合。
「そのまま絵を書いていいよ」とした子供たちは絵を描き続けたのに対して。
「賞をあげる」とした子供たちは、賞がもらえる期間までは絵を書いたものの、賞がもらえなくなってからは絵を描かなくなったことがわかっています。
これはつまり「内的動機づけ」があるか、「外的動機づけ」があったか。
この違いで。
内的動機づけというのは、いわゆる「自分が決めたこと」
外敵動機づけというのは、いわゆる「他人が決めたこと」
内的動機づけ、つまり「自分がやる」と選択したものに関しては、モチベーションが継続しますが、「他人からやれ」と言われたものに対しては、モチベーションが継続しません。
それが上記の研究によって証明されたことですが、ボーン教授のアンケートの研究に話を戻すと。
「アンケートをお願いします」というのは、いわゆる「外的動機づけ」にあたります。
そうなると、「誰かに自分を支配されている」という感覚が芽生え、選択の自由が奪われている感覚を覚えます。
一方で「ちょっとお願いしていいですか?」という言葉を聞くことによって、「お願いを聞くかどうか」を迫れるため「いいですよ」とお願いした場合、外的動機づけから内的動機づけへと変わります。
「これは自分が決めてお願いを聞くんだ」
そうやって解釈するため、アンケートを答えてもらいやすくなった、ということが言えるわけです。
心理学でよく聞く「フットインザドア」なんかにも近い感じがします。
フットインザドアとは、小さな要求をしていき、相手から「イエス」を引っ張ることで、本来の要求を通す心理学的テクニック。
ただこれも根本を見直すと「内的動機づけ」か「外的動機づけ」か、の違いに過ぎません。
そして相手に物を頼むときには必ず「相手に選ばせてあげる=内的動機づけ」が必要になってくるわけです。
実戦での応用方法
じゃあこのお願いの仕方。
どうやって応用していけばいいいのか。
これは結構いろんなケースに応用が可能で、その多様性はかなり高いと思います。
例えば。
軽いケースから考えてみて。
友人を飲みに誘う場合なんかでも、「ちょっと頼み事があるんだよねー」って聞いて。
相手から「どうしたの?俺で聞ける話なら聞くよ?」という言葉を引き出せたのなら、「お前と一緒に飲みたいんだよね。」と答える。
そうすることで、断られづらくなります。
また風邪をひいて、飲み物や風邪薬を買ってきて欲しいっていうケースも同様で。
「ちょっとお願いしたいことあるんだよね?」と聞いた後、「どうしたの?私にできることがあるなら聞くよ」と返してもらえたのなら、「ちょっと体調悪いから薬を買ってきて欲しいんだよね」
そう答えることで、買ってきてもらえる可能性は高まるわけです。
このように、基本的にはどんなお願い事に対しても応用度は高くって。
ケースごとにフレーズを変える必要はなく「お願いしてもいい?」と要求したいことの1つ前に「許可」を取るだけでいいので、割と簡単に応用できると思います。
注意点
ただ、この「ちょっとお願いしてもいいですか?」といって、相手の同意を得る方法ですが、1つ注意点が必要だということもわかっていて。
それは「お礼の金銭の要求が2倍高い」ということがわかっています。
これはどういうことかっていうと。
仮に「アンケートいいですか?」と聞いて答えてもらったグループが、「報酬」として1000円支払うのが相場だと考えたとき。
「ちょっとお願いしていいですか?」と聞いてアンケートを答えてもらった場合は、2000円支払うのが相場だと、多くの人が答えました。
つまり「要求は通しやすくなるが、求める対価も高くなる」ということが、同じ研究でわかっています。
なので注意点としては、金銭の対価が発生する場合はなるべくやめておき、感謝の気持ちや行動で恩返しができるケースにしておくことをお勧めします。
まとめ
ちょっと長くなってしまったので、最後にまとめておくと。
頼み事が断りづらくなる魔法のフレーズは「ちょっとお願いしてもいい?」と聞くこと。
駅前でアンケートを行う研究を行った際に、直接アンケートを取るケースでは回答率は57%だったのに対して、「お願いしてもいいですか?」と事前に許可を取ったケースの回答率は84%だった。
そのため、頼み事をする場合は「ちょっとお願いしてもいいか」と事前に確認すると頼み事が受け入れられやすくなる。
その理由は「内的動機づけ」が関係していて。
相手に「お願いを聞くかどうかを選ばせる」ことによって、その「お願いを聞く」と答え場合は外的動機づけから内的動機づけへと変わる。
この内的動機づけは、モチベーションにもつながる上、「自分が決めたから」と相手側にも感じてもらえるため頼み事が通りやすくなった、と推測されている。
ただ一つ注意が必要で。
このケースでお願い事を頼んだ場合、金銭面の要求は通常よりも2倍高くなったので、「お金による感謝」ではなく、気持ちによる感謝をした方がいい。
まとめるとこんな感じですね。
ぜひ参考にどうぞ。