今回はタイトルにある通りなんですが、森岡毅さんの著書「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方―成功を引き寄せるマーケティング入門」を読んだので、まだ読んでいない人のためにざっくりと要約していきながら、読んだ感想とレビューをしていこうと思います。
先に結論から伝えてしまうと、マーケティングとか戦略戦術を知りたい人は、まず手に取って損はしないんじゃないかなって思います。
マーケティング初心者の人とか(中上級者でもそうですが)には特に刺さる内容や考える一つの物差しが出来ると思うんで、結構いい良書かなって思います。
概要
じゃあさっそく。
この森岡毅さんの著書「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方―成功を引き寄せるマーケティング入門」ではどういった内容が語られるのか。
この部分をざっくりではありますが、要約していくと。
そもそもマーケティングは何なのか?
なぜマーケティングの施策をしなければいけないのか?
この部分を明確にしないと先へは進めないわけですが、この本の中で出てくるマーケティングの定義がまさしくだなっていう風に思うんですよね。
そのマーケティングの定義が「営業活動をしなくても、モノが勝手に売れていく状態を作ること」がマーケティングの定義であり、マーケティングをする理由になると定義されています。
これに関して僕自身「まさしく」っていう風に思いますし、これ以上分かりやすい言葉はないかなって思います。
本書の中でも出てきますが、”ブランドエクイティ”
つまり、消費者がそのブランドを見聞きして、何を思い浮かべるのか?
いわゆるブランディングというものも、消費者の頭の中にあるイメージを優位に働かせ、購買に促すために行われることです。
ブランディングもプライシングも、そのすべては”勝手に売れていくため”という究極的な目的を果たすためにマーケティング活動の全般が行われているわけです。
ここら辺の定義がかなりあいまいにマーケティングが語られることが多くあったりしますが、わかりやすく丁寧にマーケティングの定義をされている部分は、さすがだなっていう風には思いました。
このブランディングエクイティをはじめとした、どのように消費者にイメージを与えていくのか?どのように消費者の選択肢の中に食い込んでいくのか?
そういった具体的な部分に関しては本書で詳しく書かれているので、気になる人は手に取ってみてください。
その上で、この本の中で一番面白い部分なのは、森岡毅さんが勤めていたUSJをどのように再建したのか?どのようにマーケティングスキルを駆使し、集客を行ったのか?
この部分が、リアルな現場のマーえけてぃんぐ事例とともに学べるという所が、この本の唯一の地下になっています。
この部分が間違いなく面白い。
USJは名前こそ聞きますが、実は大きく売り上げを落としていた時期があり、かなり経営的には厳しかったそうです。
このUSJの売り上げをV字回復させたのが、まさしく森岡毅さんなわけですね。
本書の中でマーケティングフレームとして、「どのように戦略戦術を考えていけばいいのか?課題解決に取り組めばいいのか?」という部分が描かれるわけですが、この部分がかなり面白い。
マーケティングフレームとは、マーケティングにおける考え方のフレームワークで、本書の中で描かれている通り、
- 目的
- 目標
- 戦略
- 戦術
この順番で物事を考えていかなければいけないという思考の順序を表していて。
分かりやすくするのであれば、大局から物事を考えなくてはいけないというフレームワークになります。
このフレームワークを使い、森岡さんはUSJの来客者数が落ち込んでいる9~10月の集客増を目的に設定します。
目的として、従来であれば7万人来客する客数を、2倍の14万人来客させるように目的を設定しました。
そして次の目標ですが、マーケティング的に言えば「誰に対して」というターゲティングがこの部分に当たり、入念な調査によって独身の2~30代の女性に対して目標ターゲティングを設定していきました。
その上で、どうしたら2~30代の女性が来場してくれるのか?ということを考えていき、そこに「ストレスの発散場所の不足」という潜在的なニーズに気づきます。
であればUSJで、大声を発し、非日常を体験してもらい、ストレスを発散できる場所を提供するという戦略を考えます。
そして最後の戦術において、ハロウィーンホラーナイトというイベントを開催し、可愛らしいハロウィーンのイベントとは全く異なった”怖いホラーなハロウィーン”を執り行うことで、叫ぶことが当たり前のイベントを企画します。
この企画が見事的中し、目標だった14万人の来場を大きく上回る40万人の来場を達成することができました。
そしてもっと面白いのは、実はこの時期ハリーポッターなどのアトラクションや施設などを増設することが決まっていて、イベント自体にそこまでお金をかけることができない状態だったわけです。
限られた条件の中で、出来ることを探す。
このポイントがめちゃくちゃ面白くって、森岡さんはすごいなと思わされるんですよね。
んで。
もう一つ見てみると、一つ一つはすごく大きなことをやっているということではないことが分かると思います。
めちゃくちゃ高度な数学が出てくるわけでもないし、めちゃくちゃ高度な数式が出てくるわけでもない。
でも来場者が6倍以上増えているという結果を引き起こしている。
マーケティングって後だしで答えを聞くと、大したことないって思われがちなんですけど、実はその地道な一歩が本当に大切だっていうことをこの本では知らせてくれるんですよね。
マーケティングって一言聞くと、魔法のように売れるようなものって勘違いしがちなんですけど、そこには適切な数字設定と、地道な積み重ねの上に成り立っています。
この部分を成功事例とともに学べるし、ブランディングとは?という部分はマーケティングフレームという考え方も学べるので、気になる人は手に取ってみてほしいなって思いますね。
感想とレビュー
ってな感じで、ざっくりとではあるんですが、この森岡毅さんの著書「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方―成功を引き寄せるマーケティング入門」の概要を解説してきました。
で、ここからこの本を読んだ感想とレビューをしていこうと思うんですが、個人的に僕は森岡毅さんがめちゃくちゃ好きなんですよね。
だから、当然この本を手に取ったし、言っていることも共感することばかり。
んで。
いちばん共感したっていうか、この人から受け取った言葉の中で感銘したのは「没入」なんですよね。
この本ではUSJが例題として描かれますが、もっといろいろなことを実はやっています。
ホテルの売上再建に携わったこともあるし、アトラクチャー施設に携わったこともある。
後最近だと、沖縄の観光開発なんかも携わってきてますよね。
しかもその多くが、売り上げ低迷している状態から、V字回復させているっていう実績の持ち主。
そんな天才マーケターが森岡さんなんですよね。
で、そんだけ数々の企業をV字回復させている天才って聞けば、めちゃくちゃすごいノウハウを持っているだとか、一言アドバイスを受ければ成功させてもらえるって思うじゃないですか。
もちろんすごいノウハウを持っていることは間違いないと思うんですけど、その根底にあるのは「没入」なんですよね。
例えば、USJでアニメとコラボをするってなったときに、森岡さんが言っていたのは「アニメとかに書きする人の気持ちが分からないと良いサービスを提供できない」っていう意思からスマホゲームに数百万円課金したっていう話を聞いたことがあります。
後は、自然観光のサービスに従事したときに、猟師として大自然を満喫して、狩猟免許を取るまでやりこんだとか。
これぐらい一つのことを理解しようと思った時、めちゃくちゃそのことに関して没入するんですよね。
マーケティングって多くのことが数字上で表せられるし、数字をもって会話をします。
だから、多くの人が机上の出来事って勘違いしがちなんですけど、この人はそのほとんどが”現場”ありきなんですよね。
でもだからこそ消費者に刺さる。
アニメとかゲームとかの、めちゃくちゃファンの人ならわかると思います。
「なんか最近このアニメが流行っているから、その流行に乗ってコラボしたんだな」
みたいな空気感って、そのアニメやゲームのファンからすると一瞬で分かるんですよね。
でも、そういった人達の気持ちを120%理解しようと努めるから、原作のファンたちも受け入れてくれて、その空間が楽しいものになる。
マーケティングとは魔法のようなものではなく、全て現場ありきだっていうその実直な部分を惜しみなく見せてくれる部分が僕が森岡さんの大好きなところで。
この本でも、その真髄が描かれているので、めちゃくちゃオススメだなっていう風に思いました。
マーケティングって入口をミスしてしまうと、結構変な誤解が解けずに間違った方向に進んでしまいがちです。
本書であればそういったことはなく、”マーケティング思考”を学べると思うんで、気になる人はぜひ読んでみてください。