1つのことを続けるVS色々なコトに手を出す←どちらがいいのか。

今回はタイトルにある通り。

「1つのことを続けること」と「いろいろなものに挑戦しトライする」ということに関して、面白いことを知ったので、それについてシェアしておこうと思います。

まず先に結論から言うと、脳の観点から考えると「いろいろなものに手を出す」ほうが、脳への刺激は強くなり、より活性化されるので、1つのことを黙々と続けるよりも、いろいろなものに挑戦したほうがいいことが分かっています。

日本人からすると、1つの企業で死ぬまで働き続けるだとか、ずっと同じことを続けている職人を崇め奉るみたいな風習がありますが、これははっきり言って時代遅れなのかもしれません。

かつて「うさぎ跳び」が流行ったが、人体へ悪影響だと科学的に判明したことにより、廃止された流れと同じように、転職が当たり前になったり、副業が解禁されたりといった流れがありますが、脳科学的にも正しいことが分かっています。

学習効率を高めるインターリービング法

ではさっそく。

「1つのことを続けること」と「いろいろなものにトライしていく」ということに関して、「いろいろなものに挑戦したほうがいい」と言える根拠から解説していくと。

これは2015年に南フロリダ大学が大学生を集めて行った研究がもとになっていて。

この論文では被験者を2つのグループに分けていきます。

  • 1つの方程式を覚えてもらい、マスターしたら次に進む
  • 1回の授業で複数の方程式を学ぶ

この2つの学習法に分けて、それぞれの被験者に学習してもらいました。

ちなみに言うと、1つの方程式を解いて、理解したら次に進む、というのは「ブロック練習」と呼ばれる学習法で、日本の学校のほとんどがこれだと思います。

一方で、1回の授業で複数の方程式を習う、という学習法を「インターリービング」と言い、複数の要素を1つの授業に織り交ぜる、という学習法になっています。

この2つの学習法に分けて、次の日にテストを行ってもらい、「どちらのほうが効果的な学習法なのか?」ということを調べていったのが、今回の南フロリダ大学の研究だということでした。

そして結果的にテストの点数が良かったのは、

  • 1回の授業で複数の方程式を学ぶ

こちらのインターリービングといった勉強法を選択した被験者で、その効果はブロック練習よりも25%も高い結果となりました。

またこの南フロリダ大学の研究では、1か月後に追試も行っていて、ある程度時間がたったうえでの「記憶への定着率」にも調査をしていて。

先ほどの1日後のテストが「理解度」を示す割合だとしたら、1か月後のテストは「暗記力」を試すものだと見て取れますが、こちらも「インターリービング」を行った被験者のほうが「約2倍」ほどの点数の違いが現れました。

つまりまとめると。

1つのことをマスターして次に進むよりも、いろいろなことに挑戦したほうが、学習効率が高く、理解度も高まるうえに、記憶への定着率もいい、ということが判明したんですね。

なぜインターリービングの方が良い学習法なのか

ではなぜ、インターリービングのほうが、1つのことを続けるブロック練習よりも、学習効率が高かったのか。

この部分こそが勉強だけではなく、仕事やスキルに関しての「1つのことを続ける」ということと「いろいろなものにトライしていく」ということにもつながるので解説していくと。

これは「1つのことを続ける」ということに関しての脳への反応が原因だとされています。

というのも、脳というものは非常に飽き性で、同じ作業を行っていくと、すぐに飽きを感じ働かなくなっていきます。

いつも行く駅までの道は何も考えずにたどり着けるように、「これはできる」と確信したとたんに、脳の働きは最小限に抑えられ、省エネモードに切り替わることが分かっています。

先ほどの南フロリダ大学の研究でいえば、ブロック練習を行ったグループは脳への刺激が弱くなることで、省エネモードとなったため、勉強に飽きを感じた、ということが推測できます。

一方でインターリービングでは、同じ刺激ではなく、様々な刺激が訪れるため、脳は常に活性化している状態となります。

つまり飽きがこないため、脳が活性化し、記憶力や理解力が高まったと考えられるわけです。

ここでつながる!1つのことを続けるVS色々なコトに挑戦していくへの結論

とすると、ここでこの記事のタイトル部分にある「1つのことを続けるVS色々なコトに挑戦する」ということに関しての1つの結論が導かれていきます。

僕ら日本人では特にですが、1つの企業にずっといる終身雇用や、1つの会社にずっといることを「美徳」として、そういう人のことを「一途に尽くす人材」だととらえる人がいます。

確かにそうかもしれない。

その会社に楽しみを感じ、同じ会社であろうが、生産性を発揮しているのならそれはそれでいいかと思います。

ただ一方で、同じ会社で同じ仕事を何十年も続けていて、スキルが向上するよりも、「うまいサボり方」だけが上達している人もいる。

「給料泥棒」なんてのはその典型ですが、要するに「1つのことを続ける」というのは、過去の価値観による美徳なだけであって、脳科学的に考えると「衰退」しているにすぎません。

それは同じ作業を繰り返しているため、脳への刺激が弱くなり、理解力や記憶力などが低下しているために、脳の活性化がしづらくなっているためです。

その一方で転職や副業などを通じ、いろいろなことに挑戦していく人というのは、研究における「インターリービング」を実践していることと同じなため、様々な刺激により、脳が活性化している状態となります。

そうなると理解力や読解力、記憶力などにもつながるため、生産性はグンと上がるでしょう。

なので、脳へのメリットで考えると1つのことを永遠と続けるよりは、タスクを変えていった方がメリットが大きく、自身の成長へとつながる、ということなんですね。

ですから、「1つのことを続けるVS色々なコトに挑戦する」ということに関して、「色々なコトに挑戦する人」のほうに軍配が上がるわけです。

終わりに

ただもちろん「1つのことを永遠続ける」ということが悪いことではありませんし、1つのことを続けるという中でも「やり方を色々と工夫している人」がいるのも事実です。

その典型例が「イチロー選手」ですが、同じ「野球」という枠組みであっても、シーズンごとにスイング法をまるっきり変えたりします。

バッターボックスの立つ位置や、スイングフォームなど。

野球素人の人からするとほんの些細なコトかもしれませんが、あのレベルの人たちからすれば、本当に大きなチェンジです。

イチロー選手ともなれば、「人のバットは触らない」「同じバットしか使わない」という野球道具への異常なこだわりも見せているので、なおさらのことでしょう。

そんな「同じことを続ける」ことやルーティン、ひいては「同じ道具への執着」がありながら、シーズンごとに変化を図り、挑戦をしている。

こういう人はスポーツだけに関してみれば「同じ野球」ですが、「色々なコトにチャンレジしている」ということに関して、まさにその通りです。

ですからあそこまで大きな結果を残せたのでしょう。

なので、「1つのことを続ける」ということが悪いわけじゃありません。

あくまで「同じやり方を続けると脳がさぼりはじめ、退化が始まる」ことが悪いので、1つのことを続けるということは素晴らしいことなのはその通りだと思いますが、同じやり方を続けないように気を付けなければいけないとは思いますね。