今回はタイトルにある通り。
「ライフピボット:縦横無尽に未来を描く人生100年時代の転身術」を見たので、まだ読んでいない人のためにざっくりと分かりやすく要約していきながら、書評として感想をレビューしていこうと思います。
まず結論から言うと、前半パートは面白いんですが、後半から「結局この手の本は同じ結論にまとめがち」というように感じ、問題提起だけに共感する内容でしたね。
なので、さほど買ってまで読む価値はないかなぁというのが、僕の書評です。
ライフピボットとは
とは書いてしまいましたが、前提として内容を知らなければ批判はできない。
まだこのライフピボットを読んでいない人もいるかと思いますので、まずはざっくりと要約していくと。
タイトルにある「ライフピボット」というのは、「人生の方向転換」という意味になっています。
ライフはそのままで、ピボットというのは「方向転換」という意味が含まれているので、「方向転換ができるような人生設計をすることの重要性とその準備」に対して書かれている、というのがこのライフピボットという本になります。
なので、サブタイトルには「縦横無尽に未来を描く人生100年時代の転身術」という文言が並んでいて、「転身術=方向転換の準備」ということにつながってくるわけですね。
なぜライフピボットが求められるのか
じゃあそもそも、なぜ「ライフピボット=人生の方向転換」が必要になるのか。
本書では、3つの原因により「人生の方向転換が余儀なくされている」と主張されています。
寿命が延びた
まず1つ目が「寿命が延びた」ということ。
サブタイトルにも活用されていますし、僕らが普段生活していても「人生100年時代」という文言はよく目にする。
少子高齢化という、それに類するキーワードも並び、平均寿命や健康寿命が延びることへの弊害や危機意識なんかも、それに伴ってよく目にします。
要するに、医療の進化や進歩、食事などの成長から、僕らの寿命はどんどんと延びていっている。
となれば、これまでの人生設計として「人生80年」というのは過去の常識となり、それ以上に「労働年数」は必然的に増える、ということが考えられます。
変化の速度が急激に早くなった
そしてこの「寿命が延びた」ということと、同じぐらいよく聞くのが「変化の速度の高速化」です。
この事実もよくメディアなんかでも目や耳にするし、疑いようのない事実。
インターネットが発達し、AIやIOTなど技術は爆発的な広がりを見せている。
過去30年前の時価総額ランク上位の会社と、今の時価総額ランク上位の会社を見比べてみれば、一目瞭然で。
日本を代表する企業が軒並み連ねていた過去はとうに昔の話。
Google、フェイスブック、Amazon、appleなどが上位を連ねていることからも、その技術の進歩が急激に早くなっていることを理解できます。
このライフピボットで紹介されている面白い話で、「5000万人へ流通が広がる速さ」として比較している話が面白くて。
- 飛行機:68年
- 車:62年
- 電話:50年
- クレジットカード:28年
- テレビ:22年
- ATM:18年
- コンピューター:14年
- 携帯電話:12年
- インターネット:7年
このように5000万人の利用者を獲得するまでの時間が、どんどんと短くなっていることが分かります。
んで。
さらにここからが衝撃的で。
- YouTube:4年
- Facebook:3年
- Twitter:2年
- ポケモンGO:19日
このように圧倒的わずかな期間で利用者を爆発的に増やしてきました。
最後のポケモンGOに至っては、もう見間違えるレベルで。
年とか月とかの単位じゃなくて、たった「19日」で利用者数5000万人を突破しているんですよね。
このことからもわかる通りで、技術の進歩は爆発的に早くなり、それに伴い人々に普及する速度も指数関数的に早くなっていることが、現代における共通点とされています。
流行が次々に入れ替わる時代
爆発的に技術やテクノロジーが普及するとなると、相対的に「流行が次々に入れ替わる」ということが言えるわけですが、これが3つ目の要因となってきます。
仮にSNSで例えるならば、ミクシィやグリーなどが流行っていたが、それがTwitterやFacebookに入れ替わる。
そしてインスタグラムやクラブハウスなどが台頭してきて、過去数年も前の出来事が今じゃ通用しなくなっている、というのは必然的になってきています。
これはSNSだけではなく、ウーバーイーツが爆発的に流行すれば、電話注文という文化やそれに類する職業についていた人は淘汰されていて来ますし、ITという波はすべてのジャンルの垣根を越えて、飲み込んでいくとされています。
つまりまとめると、人間の寿命は延びて働く時間は増えているが、技術やテクノロジーの爆発的な進化から、次々と流行が塗り替わるため、「ライフピボット=人生の方向転換を素早く行える人材」こそが、これから求められる、ということがこの本の冒頭部分で伝えたいことなんですね。
テクノロジーや技術、指数関数的に増える新たなサービス。
ただそれに伴って淘汰されていくサービスや商売も増える一方で、僕らは働かなくちゃ生きていけない。
これがライフピボットを読むため、理解するための「危機提起」になってくるわけです。
人生100年時代の3つの転身術とは
では一体どうしたらいいのか。
ここら辺の中盤から終盤近くにまでかけて「人生100年時代の転身術」というサブタイトルに近しい章が始まっていきます。
具体的にこれからの時代を生き抜いていくための、3つのスキルが提唱されていて。
それが
- 価値を提供できるスキルセット
- 広く多様な人的ネットワーク
- 経験によるリアルな自己理解
この3つの蓄積を今からしておくことが重要だと描かれます。
この3つを本書では、車に例えていて「経験によるリアルな自己理解」がハンドルならば、「価値を提供できるスキルセット」と「広く多様な人的ネットワーク」がアクセルとなる。
自己理解を深められたら、「どこへ向かいたいか?」という指針がはっきりし、スキルと人脈によって「それを前に進める」アクセルとなる。
この3つを車として例に挙げています。
ライフピボットの辛口書評
とまあ、こんな感じでざっくりと要約してきましたが、危機提起として「技術の進歩と仕事の淘汰、そして人類の寿命」を上げて、それを乗りこなすための3つの方法として、転身術が蓄積スキルとして挙げられている構成になっています。
もちろんもっと細かいテクニックや具体的にどうアクションすればいいのか、という点まで解説はされているんですが、まず言いたいのは「転身術の3つ」で。
- 価値を提供できるスキルセット
- 広く多様な人的ネットワーク
- 経験によるリアルな自己理解
こうした名前を付けていますが、これっていいかえれば
- スキル
- 人脈
- 自己理解
というありふれた回答なんですよね。
新しくラベリングしなおして、「新らしい発見」という名を打っているのは分かりますが、言い換えると「皆が言っていること」。
真新しさはなく、しごく当たり前のことを言っているに過ぎない。
もちろんスキルの欄を細かく見ていくと、
- テクニカルスキル
- ヒューマンスキル
- コンセプチュアスキル
これらに細かく細分化して、伸ばすべきスキルや伸ばし方などを提唱していたりもします。
ただ、特に「コンセプチュアスキル」というのは、あまりビジネス書でも聞かないが、内容はよくあるビジネス書の概念なので、良いラベリングのし直しをしているにすぎず。
また、人脈が新たな発見や仕事の受注、知見や創造を広げてくれ、時代に取り残されない完成をはぐくむ、といったありきたりな表現にとどまっている感も否めない。
これが前半パートとして冒頭は面白い(5000万人の利用者の推移なんかは参考になるし説得力は高い)が、後半パートは失速感が否めないと感じたゆえんなんですよね。
もちろん、特定のサービスなどを紹介して、今っぽい働き方やその価値観提供をしているのは面白い(ココナラ、タイミーなど)し、ギグワークやギブワークもうなづける。
ただやっぱり本書を一冊通して「革新的な提案」があるかどうか、って聞かれると過去の「未来予測系のビジネス書」の焼き増し感が否めない、というのが僕の率直な感想でした。
結構ネットなんかを見ているとおすすめしている人が多いので、良書と思って手に取りましたが、僕個人としてはさほど役に立つ内容がなく、僕の書評としては「買ってまで読む必要はない」という結論でしたね。