今回はタイトルにある通り。
「反復練習」に関して面白いことを知ったので、それをシェアしておこうと思います。
まず先にタイトルにある「なぜプロフェッショナルな人は基礎的なことを反復練習するのか」ということの答えからさきに伝えておくと。
「反復練習」にはある一定の効果が確認されていて、これをオーバーラーニングというテクニックの名前がついてます。
このオーバーラーニングは科学的に証明された練習法で、一定の効果が各インされているため、一流な人やプロフェッショナルな人は基礎的なことを繰り返している訳です。
なので、よく質問にある「出来るようになったことを繰り返すことに意味はあるのか?」や「反復練習に効果はあるのか?」と言った疑問に対しては「ある」と言うのが科学的なアンサーになります。
オーバーラーニングの効果と根拠
では次に「オーバーラーニング」においての効果とその根拠について解説しておくと。
これは2017年にグラウン大学が発表した論文が元になっていて。
この論文では男女の被験者を集め、ある研究が行われました。
その研究というのは、被験者に画像を見せていき、その画像を記憶してもらうと言った実験でしたが、学習するグループを2つのグループに分けて記憶力の違いを検証していきます。
2つに分けられたグループというのは、
- もう覚えたと感じた後に、30分の休憩を挟み、次に向かったグループ
- もう覚えたと感じた後に、2〜30分再度同じ内容を学習し、その後30分の休憩を挟んだのちに次に向かったグループ
学習時間は当然両者同じですが、違っているのは「次の学習に向かうタイミング」で。
1つ目のグループは「もう十分だ」と感じた後に、休憩を挟みはしたものの、すぐ次に向かいました。
2つ目のグループは「もう十分だ」と感じた後も、すぐ次には進まずに、2〜30分という時間をかけて、今一度学習した内容を復習しました。
その後に、1つ目のグループと同じように休憩したのち、次の学習に進んで行きました。
当然後者の方が「オーバーラーニング」というテクニックを用いたグループでしたが、両者に学習が終わってから記憶力を図るテストを行ってもらいました。
その結果は面白いほどくっきりと特徴を捉えたものとなっていました。
1つ目のグループは、「2番目に学習した内容は覚えているものの、1番目に覚えた内容を忘れている」という傾向にあることが判明していて。
2つ目のグループは、「一番目と二番目に学習した内容ともに、高い記憶力を発揮した」という傾向にあることがわかりました。
つまり、オーバーラーニングをしたグループの方が記憶力が高く、学修した内容をきちんと覚えていることが判明した、ということなんですね。
一方で、「できると思ったらすぐに次に行ったグループ」は、できると思っていた内容は、実は「出来る=記憶した」ということにはつながらず、新しい情報は覚えていたものの、一番目の記憶はあまり良くないものになっていた、ということが判明した、ということでした。
なぜプロは基礎練習を繰り返すのか
ではなぜブラウン大学の研究にある通り「オーバーラーニング」をしたグループの方が、記憶力が高かったのか。
これに関しては「脳のメカニズム」が影響していると考えられています。
というのも、脳の学習において、大きく分けて2つのモードに分かれるとされています。
- 学習モード
- 復習モード
まあ言い換えれば、予習復習とも言えますし、インプットアウトプットとも言い換えられますが、ここで上記の言い方で統一します。
要するに、「学習モード」というのは、情報を収取する時に活動する脳の状態のことで、あらゆる情報を脳の中に取り入れようとします。
一方で「復習モード」というのは、学習した内容を記憶し、脳に定着させるためのモードになっています。
短期記憶と長期記憶という言葉は聞いたことがあるかと思いますが、短期記憶と長期記憶とでも脳の活性化する場所は違うんですよね。
上記のブラウン大学の研究を例にしていくと、「1つ目の学習の後にすぐ次に行ったグループ」というのは、学習モードの状態で次の学習に進んでいます。
このモードは「記憶に定着させる」ことが目的ではなく、情報を収集するための目的なので、瞬時に物事を忘れてしまう特性がある訳です。
いわゆる短期記憶というものですね。
一方で、2つ目のオーバーラーニングを行ったグループは、学習モードから再度「反復=復習」に時間を使ったことにより、定着モードへと脳が切り替わったと考えられます。
そのことによって、きちんと覚えた内容を記憶し、つぎに進めたため、記憶の定着率が高かった、と考えられる訳です。
いわゆる長期記憶ですね。
この学習モードと復習モードは、僕なりに「植物への水やり」にすごく似ていると思っていて。
基礎練や反復練習に意味はあるのか否か
植物に栄養を与えるために水を注ぐと思いますが、ジャボジャボと水を上げ続けると、土が水を吸収する以上に水が溢れ出ます。
溢れ出た水は栄養として植物が吸収できずに、外に溢れ出るので全く意味をはしません。
そうではなく、適量の水をあげた後、その水を栄養として吸収してから、また次に水を上げることで植物は成長する訳です。
これと同様に、学習モードのまま学習を続けているのは、植物がまだ吸収していないのに、永遠と水をジャバジャバと上げ続けていることになるため、全く意味を成しません。
一方でオーバーラーニングのように、「十分だ」と感じた後も、覚えた内容を繰り返し学ぶことで、「記憶に定着」し、次に進むことができる。
だからこそプロフェッショナルは基礎的な練習をコツコツと繰り返している訳です。
そう考えると「もうできるからやらなくていいや」というのは、少し浅はかな考え方で、基礎練や反復練習というのは一定の効果があると言える訳ですね。
まとめ
少し長くなったので、最後にまとめておくと。
反復練習や基礎練の繰り返しに効果はあるのか、という問いに対しは「ある」と言うのが科学の答えで、この練習法を「オーバーラーニング」と呼ぶ。
オーバーラーニングの効果は、ブラウン大学の研究により証明されていて、オーバーラーニングを行った被験者グループの方が、記憶力の定着率が高いことがわかっている。
オーバーラーニングが効果を発揮する理由は、
- 学習モード
- 復習モード
この2つの脳の役割によるところが多く、覚えた内容を再度行うことによって、学習モードから復習モードへと切り替わるため、短期記憶から長期記憶へと移り変わり、高い記憶力へとつながる。
まとめるとこんな感じですね。
一度学んだ内容をやることとか、基礎練とかってめんどくさいと感じる人もいるかと思いますが、ぜひ参考にどうぞ。