今回はタイトルにある通り。
「褒めるっていいことなのか?」に関して面白いことを知ったので、それをシェアしておこうと思います。
先に結論から伝えておくと、褒めるのは「ある能力を高める」ということが分かっていて、基本的には「褒める行為」というのは良い可能性が高い、ということがある研究により明らかになっています。
なのでもし仮に「子供や部下などに褒めていいのか?」はたまた「人はほめて伸ばすべきなのか?」と悩む人がいたら、ぜひ褒めてあげてください。
それだけで、ある能力が飛躍的に伸びます。
褒めてダメってなんで言われるようになった?
まず初めに。
少しだけ本題とずれるんですが、それでも関係がある話なので、「褒めて育てる、褒めて伸ばすのってなぜダメになったのか」を一緒に考えていこうと思うんですね。
これは2つの理由があると思っていて。
それが「ゆとり教育の失敗」と「アドラー心理学」が、大きなポイントになってるのかなと個人的に思います。
「ゆとり教育の失敗」というのは、平成にかけて行われた教育方針のことですが、平成は「失われた30年」といわれるほどの経済的な低迷期を表しています。
よくよく考えれば、「教育」を受けているのは子供なわけですから、「経済的な低迷期」に子供たちは全くの無関係。
要するに、ゆとり教育の失敗と経済的な低迷とは関係がないということ。
それなのに、ゆとり教育の失敗=ほめて伸ばすのはだめ、という印象を持つ人が増えたのかなと個人的に思っています。
それに加えて「昭和のバブル」がうまくいっていた時期を思い出すことで、昭和の教育=スパルタが良いという逆説的に「褒めるのがダメ」といった考えの人が増えたんじゃないかと思えてきます。
これが「ゆとり教育の失敗」。
またもう1つの「アドラー心理学」による影響ですが、始めに伝えておくと「心理学」は科学であり、アドラー心理学は「哲学」です。
つまり、心理学と名前がついていますが、そこに統計的なデータはなく、あくまで一つの「思想」だということ。
ただアドラー心理学がベストセラーとなり、大ヒットしたことによって、「アドラー心理学=科学」と思う人が増え、アドラー心理学は「すべて正しい」と進行する人が増えてきたように思います。
そして肝心なのはアドラー心理学において「褒めて育てるのはダメだ」と描かれます。
それは「褒めることによって頑張る人は、他人の人生を生きることになってしまう」ことが原因で。
他人の物差しによって、自分の価値観が決まり、誰かから褒められないと行動しない人間を産む結果になる、と。
アドラー心理学の代表的な2冊目の本である「幸せになる勇気」はまさにこの「褒める」という部分がキーワードになった本です。
それだけ褒めることにスポットを置き、「褒めて育てるのはだめだ」という風に、言い切るのがアドラー心理学。
ただ何度も言うように、あれはあくまで1つの考えた、思想であり、統計的な裏付けやデータによる証拠を提示したものじゃないので、心理学ではなく「哲学」という意味合いが強い本です。
とするとなると「褒めて育てるのがダメだ」というのは、一概に言えるものじゃなく、褒めて育てるほうがいいケースもある、ということがこの初めに言いたかったことなんですね。
褒められると想像力が高まる
大事な部分だったので、本題から離れてでも少し時間をもらって解説しましたが、ここからが本題で。
なぜ「褒めて育るのが良い」と言えるのか。
その根拠をこれから解説していくと。
これはハーバードビジネススクールが行った研究がもとになっていて。
この論文では、被験者を集め、「感謝の手紙」を友人や親族から受け取ってもらいます。
「感謝の手紙」というのは、事前に被験者の親族や友人に対してお願いをして、「被験者をべた褒めした手紙を書いてください」と言い、書いてもらったのが感謝の手紙でした。
その手紙の内容というのが、「あなたは知的で頭の回転もよく、創造性にあふれた人で、仕事のスピードは誰よりも早いわ。あなたは多くの人の見本となる人で、あなたと行った討論会はとても刺激的だったわ。」
こうした内容が、手紙に書かれていた内容でした。
それぞれ褒められた内容は微妙に異なりますが、見てみると「恥ずかしくなるぐらいべた褒め」であることが分かります。
そしてハーバードビジネススクールは、この手紙を読んでもらった被験者に対して、「ドゥンガーのロウソク問題」を解くように指示しました。
ドゥンガ―のロウソク問題というのは、創造性を図るテストとしてよく用いられることで有名な問題で。
簡単に言えば、ロウソクとマッチ、そして箱に入った画鋲を使い「ロウをたらさずに壁にロウソクを取り付けてください」というもの。
分かりやすく言えば、テレビ番組であるようなクイズ的なものに近いですかね。
これはよく創造性のテストとして用いられるものですが、これを感謝の手紙を読んでもらった被験者に解いていってもらいました。
その結果わかったのは、普通のグループはこのドゥンガ―のロウソク問題を解けた割合は「19%」だったのに対して、感謝の手紙を読んだグループは約3分間の間に51%の人がこの問題を解けていたことが判明しました。
つまり、褒められた人というのは、約2.5倍も創造性が高くなった、ということがこのハーバードビジネススクールの研究により判明した、ということなんですね。
なぜ褒められると創造性が高まるのか
ではなぜ感謝の手紙によって、褒められたグループの人は約2.5倍も創造性が高まったのか。
その理由は「ベストセルフアクティベーション」という心理現象が原因だと考えられていて。
このベストセルフアクティベーションというのは、「最高の自分が活性化された状態」を意味しているとされています。
どういうことかというと。
褒められることで、最高の自分が活性化された状態となります。
そのことにより、過去でうまくいった時のイメージなどを連想することで、自分に自信を持つことが出来ます。
そして自信を持ったことによって、クリエイティブ性にも良い影響を与えた、ということが考えられています。
つまり「ベストセルフアクティベーション」が創造性を高める、という現象をもたらした、ということなんですね。
そしてこのベストセルフアクティベーションは、「褒められたこと」によって活性化され、意識がされる結果となった、というが言えるわけですね。
さらにこのハーバードビジネススクールの研究が面白いのは、「感謝の手紙を書いたのは、研究者にお願いされたからだ」と知っていてもなおこの効果が表れた、ということ。
つまり「お世辞」や「嘘」、「大げさ」であっても褒めることに対して、ベストセルフアクティベーションは働き、創造性を高める効果は得られるということ。
さらに言えば、「自信がつく」という幼少期において最も大切な自己肯定感を満たす結果になる、ということがこのハーバードビジネススクールの研究により判明した、ということなんですね。
だからこそ、部下や子供に対して「褒めて育てるのはダメだ」という考え方は間違っており、「褒めてあげたほうが自信がつき、創造性が上がる」というのが、ハーバードビジネススクールの研究からもわかる、ということなんですね。
まとめ
少し長くなったので、最後にまとめておくと。
「褒めて育てるのはだめなのか?」に対する回答は、「褒めてあげたほうが自信がつき、創造性が高まる」というのが、科学的なアンサーとなる。
そもそも、「褒めてはいけない」というのは、誤った考えや時代感、そん時の思想によって培われたアナログ的な思想である可能性が高く、「科学的な裏付け」がないケースの方が多い。
一方で「褒めること」による影響は大きく、その影響には「科学的な裏付け」が存在する。
教育方針は過程によっても違うし、部下育成など企業のOJTなども会社によって違うが、その教育方針が「科学的に正しいのかどうか」を見ることが大切で。
「何となく信じている」という教育方法に関しては懐疑的になることが大切となる。
まとめるとこんな感じですね。後感謝の手紙に関して面白い研究を紹介しておくので、ぜひ参考にどうぞ。