今回はタイトルにある通り。
「計画の立て方」に関して面白いことを知ったので、それをシェアしておこうと思います。
先に結論から伝えておくと、いろいろな計画の立て方はあれど、「絶対に立ててはいけない計画の立て方」というのが存在して。
それは「主観的に自分で決める」ということをしてはいけないことが分かっています。
どういうことかもっと具体的に言うと、僕ら人間が立てた計画のほとんどが「曖昧」で、自分のことを客観的に見れていないからこそ、時間配分がうまく取れない性質にあります。
計画通りにうまくことが運ばないのは、「自分で決めている」ということがボトルネックになっていることが大半なんですね。
と、ここまで伝えると「いやいや。計画は自分で立てる以外にないでしょ」と思う人もいると思いますが、それも少し間違いで。
あるポイントを間違えてしまうと、計画がうまく進まなくなり、スケジューリングがぐちゃぐちゃになってしまう恐れがあります。
今回はそんな「計画の上手い科学的な立て方」に関して解説していこうと思います。
人間が立てた計画は曖昧そのもの
ではさっそく。
「主観的に決めた人間の計画は曖昧で、ほとんどの人が計画通りに物事を勧められない」その原因から解説していくと。
ある研究ではこんな実験が存在します。
その研究によると、学位論文を控えた大学4年生を集め、皆に同じ質問をしました。
その質問というのが「あとどれぐらいで学位論文を書き終わるか?」といったものでしたが、選ばれた被験者には
- 最短で終わる時間
- 最長で終わる時間
この2つを提出してもらいました。
被験者が「最短で終わると見繕い計画を立てた日数」は平均して27日でした。
もう一方で「最長で終わると計画を立てた日数」は平均して49日だったことが分かっています。
言い換えれば、ほとんどの被験者は「論文はおおよそ1か月で終わるだろうし、遅くても2か月はかからないな」と計画を立てて課題に取り組んでいたわけです。
しかし、その後研究チームが「実際に学位論文を書き終わるまでにかかった日数」というものを調べてみると、まったく違った結果になっていることが判明します。
実は学位論文を書き終わるまでにかかった時間といのは、平均して56日であるk所とが分かっていて、被験者たちが自己申告した「最長で終わる時間」をも上回っていることが判明しました。
この平均して56日という「実際に論文を書くまでに必要な時間」というのは、「最短で終わる」とした時間の約2倍もかかっているものであり、僕ら人間がいかに「計画を立てるのが苦手な生き物なのか」ということがこの研究により明らかになったのでした。
なぜ計画通りに物事を進められないのか
では次に。
なぜ学生たちは論文にかかる時間を誤って解釈し、計画通りに物事を勧められなかったのか。
これは「計画錯誤」という概念が影響していると考えられています。
この計画錯誤という言葉は認知心理学者のダニエルカーネマンが提唱し名付けたことで知られますが、計画錯誤というのは言葉の通り「計画を誤解して勘違いしてしまう現象」のことを指します。
この計画錯誤という言葉を名付けたカーネマンは後に、ノーベル賞も受賞するような人ですが、実際にカーネマン自身も計画錯誤に陥った経験があって。
そのことから、この概念を生み出したとされています。
その体験というのは、カーネマンが大学教授のころ教科書の執筆を依頼されます。
当時教科書の原稿を描いている際、1年で2章分の執筆が終わったため、依頼人や関係者から「あとどれぐらいで終わる?」と質問された時、「最短で1年半、最長で2年半だ」という風にこたえています。
しかし、実際に教科書の執筆が終わったのは「8年後」であり、4~8倍も計画がずれ込んでいた経験がカーネマンにはあったわけです。
そのことから「計画錯誤」という人間が陥りやすい現象を見つけ、名前を付けていったわけですが、ノーベル賞を受賞するような天才ですら、この計画錯誤に陥るわけです。
ですから、一般人の僕らは尚のこと、予定通り、計画通りに物事が進めないことを理解しておく必要があるわけです。
科学的に正しい計画の立て方とは
では最後に。
どうしたら計画錯誤を回避し、倒れない計画を立てることが出来るのか。
それは計画錯誤に陥る根本的な原因を知る必要があり、それを回避することで、倒れない計画を立てることが出来るようになります。
まず第一に計画錯誤、その原因の根本となるのが「人間の時間に対する楽観的な見方」が原因となり、計画錯誤に陥るわけです。
つまり、冒頭でも伝えた通り「主観的に自分自身で判断してはいけない」ということが見えてきます。
それは上記で伝えた研究でもある通り、「本来56日かかるものを、27日で終わる」と約2倍もずれ込むずさんな計画を立てるのが人間ですから、「主観的ではなく、客観的に判断する」ことが重要になってくるためです。
そのため、一番簡単かつ大切なポイントを踏まえて考えると、「他人に計画を決めてもらう」というのが、ズレこまない計画を立てる上で重要なポイントになってきます。
まあ、すべての計画を他人に立ててもらう、というのは現実的ではないため、これを仕事で生かすとしたら、計画の1つのタスクを抜き取り「他人が要した時間」を参考に計画を立てることですね。
「計画の1つのタスクを抜き取り「他人が要した時間」を参考に計画を立てる」ということを、具体的に見ていくと。
例えばプレゼンの資料作りを任された時。
「大体1週間で終わるな」と自分の主観で物事を決めるのではなく、上司や同僚に「プレゼンの資料を作るのにどれぐらい時間がかかった?」と聞く。
その上司や同僚がかかった時間をもとに計画を立てていく。
そうすることによって主観的な見方ではなく、客観的に見て計画を立てることにつながるため、計画錯誤に陥る可能性を低くすることが出来ます。
つまり他人にスケジュールや計画を決めてもらうのではなく、「他人が費やしたタスクの時間」を参考に、計画を立てる、ということですね。
また「いや。他人を参考にはできない」という状況の人もいるでしょうから。もう1つ計画錯誤に陥らない、計画の立て方を考察していくと。
他人を参考にできない場合は、「データを取る」という方法が考えられます。
データを取るというのは「自分がどの用事に、どれぐらい自時間を使っているか」を測定し、その時間をもとに計画を立てるというもの。
何度も言うように、僕ら人間の時間間隔はすごく曖昧なもの。
だからこそ、感覚的な判断をするのではなく、実際問題「タスクに要した時間」を用いて計画を立てることにより、計画錯誤を抑えることが出来るということが期待出来るわけです。
そのための「データを取る」ということですね。
こちらの方は、他人のデータを参考にできない分時間がかかりますので、お勧めは「人から聞く」という方がおすすめではありますが、一人で計画を立て進めたいという場合は、データを取るほうでもいいと思います。
まとめ
少し長くなったので最後にまとめておくと。
人間の時間感覚は曖昧であり、優秀な人であっても「必要な時間と、実際にかかる時間」を間違える。
それは学位論文を書き終わるまでにかかった時間と終わると予想した時間の違いからも証明されている。
この現象を計画錯誤という。
計画錯誤に陥らないためには、「客観的に判断する」というのがポイントとなり、そのための方法として
- 他人が費やした時間を参考に計画を立てる
- データを取り、そのデータをもとに計画を立てる
これらの方法が考えられる。
まとめるとこんな感じですね。
計画錯誤に関して別の記事でも紹介しているので、気になる人はぜひ参考にどうぞ。