今回はタイトルにある通り。
「時短テクニック」に関して面白いことを知ったので、それをシェアしておこうと思います。
先に結論から伝えておくと、世の中にはあらゆる時短テクニックが存在していますが、あまり効果がないどころかむしろ逆効果になりえる、ということが分かっています。
なので、効率化を目指したり、効率化を目指し生産性を高めようとする際に「時短テクニック」ばかりを追い求めると逆に生産性を下げることにつながったり、モチベーションの低下を招いたりするので、ほどほどにしておくことをお勧めします。
時短テクニックはモチベーションを下げる
ではさっそく。
「時短テクニックはモチベーションを下げる」というその根拠から解説していくと。
これは2017年にアイントホーフェン工科大学が行った研究がもとになっていて。
この論文では、119人の医療関係者の方を集めてある実験が行われました。
医者や看護師を含む、119人の医療関係者に「ジョブクラフト」という名目の講演セミナーを3時間受けてもらいます。
その後に、このジョブクラフトで培ったスキルやテクニックを3か月間実践してもらい、職場において「どういった変化が行ったのか」というものを調べていきました。
要するに、時短テクニックを教えてもらい、それを実践して「どういった効果があったのか」というものを見ていったのがこのアイントホーフェン工科大学の研究だということですね。
先ほど紹介した「ジョブクラフト」というのは主に3つのジャンルをセミナーで解説していました。
その3つというのが
- 効率化
- 挑戦心
- 人間関係
主にこの3つに分類されています。
効率化というのは、まさに時短テクニックそのもので。
厳密にはデマンドレデューシングとして紹介され、
- 仕事を外注すること
- 人に頼むこと
- 他者に任せること
こういったことを行い効率化を目指し、生産性を高めるためのテクニックを紹介していきました。
挑戦心というのは、一見すると仕事に関係のないことに対してトライしていくことを意味していて。
ボランティアに参加したり、新しい分野の知識を学んだり。
こうした挑戦を通じて、「医療の仕事に生かす」ということを目的としたテクニックが挑戦心でした。
そして3つ目の「人間関係」は、リソースシーキングという名のもと、仕事において人間関係などを円滑に進めるために、コミュニケーションを図ったり、意見交換をしたりするなどの「人間=リソース」に重きを割いたグループが、このグループでした。
改めて説明すると。
- 効率化
- 挑戦心
- 人間関係
上記の3つのテクニックを使った際に、「どれが一番モチベーションが高まるのか」ということを調べていったのが、このアイントホーフェン工科大学の研究だった、ということです。
この研究の結果面白いことが判明しました。
というのも、一番直接的で生産性を高めると思われる「効率化」ですが、実は疲労感との相関関係が見つかり、モチベーションに関して対して上がらないどころか低下する傾向がみられました。
これは要するに、「時短テクニック」というのは、モチベーションそのものを上げる効果はなく、むしろ疲労感を高める、ということが明らかになった、ということなんですね。
その上で一番モチベーションを高めたのは「挑戦心」で、新しいことにトライしていく気持ちというのは、仕事や業務においてモチベーションを高めることにつながる、ということも明らかになりました。
リソースシーキングも効果がないわけではありませんでしたが、一番の「新しいことにトライする」というチャレンジシーキングには及ばない結果になっています。
つまり、やる気や生産性を高めるという観点から見ると、「仕事を効率的にこなす」ということよりも、「新しいことにトライする」ほうが圧倒的に効果があり、巷にあふれる「時短テクニック」にはやる気やモチベーションを下げる効果が確認された、ということが言えるわけです。
なぜ時短テクニックはモチベーションの低下を招くのか
では最後に。
なぜ時短テクニックはモチベーションの向上には効果がなく、疲労感との間に相関関係があったのか。
これにはいろいろな理由が考えられていますが、大きな要因として「時間飢饉」という概念が関係しているとされています。
時間飢饉の概念は上記記事で詳しく解説していますが、簡単に言えば「時間がない」という感覚によって、どんどんと焦りが募ってしまい、余計に時間を失ってしまう現象のこと。
これにより仕事の満足度が低下したり、様々な悪影響があることが知られています。
さらにこの時間飢饉というのは「物理的に時間がない」ということが原因で引き起こるのではなく、「時間がないという感覚」によって引き起こることが分かっています。
このことを踏まえて、今回の「時短テクニックがモチベーションを高めない」ということを考えていくと。
要するに時短テクニックを突き詰めていく人というのは、隙間隙間にドンドンと仕事を入れていき、スケジュールをぎゅうぎゅうに圧迫していきます。
そうすると、どんどんとスケジュールに飲み込まれていき、「時間がない」という感覚に陥る。
これがまさに時間飢饉に陥っている状態で、焦りやストレス、追い込まれているというプレッシャーから生産性などが低下する。
こういう負のスパイラルが考えられるわけです。
そもそも、時短テクニックを駆使し、効率的に仕事を行っているわけですから「時間が生まれる」はずです。
ただ、昔と今を比べても、機械やコンピューターの存在によって人間の自由に使える時間は増えているはず。
それなのにもかかわらず、僕らの労働時間は減らず、残業は増える一方。
よく考えるとこの現象っておかしいですよね。
まさにこうした現象が時短テクニックには引き起こってくるため、モチベーションの低下と疲労感の増加につながってくるわけです。
そうならないためにも、適度に時短テクニックを行い、自由な時間を生み出したのなら「新しいことにトライする」ということを意識したほうが、一見すると遠回りに見えますが、モチベーションという面から見ると近道であると言えるわけですね。
まとめ
少し長くなったので最後にまとめておくと。
時短テクニックはモチベーションの低下を招き、疲労感の増加につながる。
それは時短テクニックを行うことにより、時間飢饉が引き起こり、「時間がない」という感覚からモチベーションやプレッシャー、ストレスに影響を与えるため。
これは科学が進化したものの、人間の労働時間が減っていないことからも証明が出来る。
逆にモチベーションを高めるには、新しいことにトライする挑戦心を意識したほうが効果的。
そのため、時短テクニックにはほどほどにし、自由な時間を使って新しいことにトライすることがおすすめである。
まとめるとこんな感じですね。
ぜひ参考にどうぞ。