今回はタイトルにある通り。
星渉さんが書いた「99.9%は幸せの素人」を読んだので、まだ読んでいない人のためにざっくりと要約していきながら、その感想をレビューしていこうと思います。
まず先に感想の結論を伝えてしまうと、この本結構面白いです。
是非一読しておくといいと思いますね。
99.9%は幸せの素人の結論
ではさっそく。
この「99.9%は幸せの素人」を読んでいない人のためにざっくりと要約していくと。
まず結論から言えば「ほとんどの人が幸せについて学ぶことがないから、幸せについて学ぶことが大切」
これが本書の結論になります。
これは言われてみれば確かで。
マーケティングとかセールスだとか、そういったことは学ぶのに、「幸せ」について学ぼうと思ったことはない。
これは感想でも書いたんですが、その根本的な理由は「成功=幸せ」とどこか漠然と信じているから。
だから成功するための方法やそれに直結するであろうビジネス書なんかを読んだりする。
でも実は成功と幸せとは全く別物であることを、成功者は知っている。
だからこそ、「幸せ」というもの自体を学ぶ必要があり、ほとんどの人は学んでいない、というのがこの本の伝えたいメッセージである結論なんですね。
成功=幸せではない
そのうえで、多くの人が勘違いしているのは「成功=お金」であり、「お金を稼ぐこと=幸せになれる方法」だと思っていること。
果たしてそれは本当なのか。
本書ではまずここが語られる。
確かに様々な研究を見てみると、収入と幸福度にはある程度の相関があり、本書が引用している研究では、およそ800万円までは収入と幸福度が比例していることを紹介しています。
よく聞いたことがありますよね。
「年収1000万円とか2000万円まで行くと、あまり幸福度は変わらない」というお金持ちの言葉。
あれはまさしくで、ある程度の水準までは年収と幸福度は相関関係にあるが、一定の水準を超えると、幸福度は横ばいになる。
そして、ここからが重要なポイントで。
収入と幸福度はどれぐらいの相関があるのか。
本書で紹介している研究では、年収が2倍になったときの幸福度は9%上がる、という研究も同時に紹介されています。
当然のことながら年収を2倍にするのは容易なことじゃない。
わずか9%の幸せのために、労働時間を2倍にしていたら、果たして体は持つのか?自由な時間を確保できるのか?
そんな矛盾が発生するわけです。
つまり「収入を追い求めるのは、幸せをつかみ取る手段として非効率である」ということが、この本では語られるわけです。
体験や経験にお金を使え
じゃあ効率的な幸福度の高め方は?として紹介されているのが、経験や体験にお金を使うこと、だと本書では紹介されています。
ポイントとして、
- 人脈やいい関係につながること
- 思い出になること
- 理想の自分になること
- チャンスにつながること
こうした経験や体験につながるのであれば、お金を使うことによって幸福になれる、と伝えています。
実はこれって、この本だけではなく、数々の本で描かれていることだったりします。
上記で詳しくレビューをしていますが、「お金に支配されない13の真実」にも「経験にお金を使うこと」の重要性を伝えています。
多くの人が「物欲」にお金を使い、散財をしますが、科学的な研究によっても「物は買った瞬間に価値が衰退していく」ということが分かっていて、買った時より買う前のほうが脳内ホルモンが分泌されている状態です。
「買う前は喉から手が出るほど欲しかったのに、買ったらあまり興味が無くなった」
多くの人がそんな経験をしたことがあると思いますが、モノへの欲求はそれが真実。
そうではなく、本当の意味で「満たしてくれる」ことというのは、思い出や経験などにお金を使う使い方。
だから、幸福になるためには「経験や体験」にお金を使うべきだと、伝えられていて。
頑張って収入を2倍にするよりも幸福度への貢献度は高い、という風に伝えられています。
幸福度を高める3つのポイント
ここまでで「お金を稼ぐ努力はするが、幸せになる努力はしていない」ということについて知らしめられたうえで、次に気になるのが「ではどうやったら幸せになれるのか?」ということ。
そこで「人生の幸福度を高める3つのポイント」が挙げられます。
それが
- ポジティブ感情
- ネガティブ感情
- 受け入れる
この3つです。
1つ1つ見ていくと。
ポジティブ感情
当然のことながらポジティブな感情を持って楽しいことがあれば、それは人生の幸福度を高めることにつながる。
先に伝えた「経験や体験」というのも、1つの楽しいことにつながってくる。
ネガティブ感情
ポジティブ感情はある程度分かりやすいので、さらっと解説して次のネガティブ感情を伝えていくと。
ネガティブな感情と密接な関係にある「不安や心配事」
本書では「不安や心配事」はほとんど起こらないとして、論文を紹介しています。
実はこのロバートリーヒ教授の論文、この本を読む前に知っていました。
実際に不安や心配事は、15%以下しか起こらず、しかもその大半は「自己で解決できる」ものだということが分かっています。
なので、ネガティブな感情に支配されすぎる必要はないと。
さらに僕個人で補足しておくと、無理にポジティブになろうとする必要はないことも様々な研究によってわかっています。
上記の研究でも紹介していますが、無理にポジティブ思考になろうとすることによって、不幸につながることもわかっています。
受け入れる
そして最後の3つ目の「受け入れる」ということ。
僕的にここが一番面白かったポイントですが、慶応大学の前野教授曰く、「人生の満足度は現状の自分を受け入れることによって高まる」ということが分かっています。
その証拠に、よく心理療法なんかで「瞑想」や「マインドフルネス」といった技法が用いられていますが、これらはすべて「受け入れること」をするためのトレーニングです。
上記記事で瞑想の効果を紹介していますが、まさにこの通り。
まさに「楽しいこと」も「悲しいこと」も、悲観しすぎず楽観視過ぎず、ありのままを受け入れる。
これが人生の満足度につながる、ということがこの本では描かれます。
感想:資本主義へのアンチテーゼ
とまあ、ここまででざっくりとではありますが、この「99.9%は幸せの素人」という本の要約をしてきました。
お金を稼ぐことが幸福度につながることは間違いないが、その割合は9%ほどなので、労働時間や精神的負担が変わらずに、収入が増える分にはいいが「命を削って稼ぐこと」は効率はさほど良くない。
それよりも「経験や体験」にお金を使うことのほうが、人生の満足度や幸福度を高めるには効率がいい。
また、幸せになるためには「ポジティブな感情」「ネガティブな感情」それぞれをありのまま受け入れることが重要で。
過度に不安になりすぎず、極端に楽観的になりすぎない。
今の自分を受け入れることが重要である。
そんな内容でした。
そのうえで、本書を読んだ感想をレビューしていくと「。
まず先にこの「99.9%は幸せの素人」という本のタイトルがすごく面白くって。
僕らの生きる世界はいわゆる「資本主義」というものが、渦巻いている。
お金を稼げば幸せになれて、どんどんと拡大し広げることが幸せになる唯一の方法だ。
そうやって一種のまやかしの中に生きてきました。
ただ歴史を紐解くと、資本主義というのは一つのイデオロギーであって正解じゃない。
そして、どうやらお金を稼げば稼ぐほど幸せになれるわけじゃない。
そんなことを皆うすうすながら感じ始めてきた時代だと思っています。
ここら辺はサピエンス全史を読むと、めちゃくちゃ理解が深まるんだけど、歴史を振り返ると「その時代に信じられてきた価値観」の中で僕らは生きていく。
それがあるときは宗教だったり、それがあるときは神様だったり、はたまた思想だったりした。
今「神様が空で見ているから頑張って働かなきゃいけない」といわれて頑張れる人ってそう多くはないと思う。
それは科学の発展によって、聖書に書かれていた数々の出来事が「偽り」だったということが証明されたから。
でも先も伝えた通り「お金を稼げば幸せになれるよ」というのは、まだどこかで信じられている。
そうやって信じられているのは、ほとんどの人が「お金を稼げていない」から。
ただ、稼いでいる人やある領域まで行った人は気づいてしまった。
えいちゃんこと、矢沢永吉の言葉はそれをまさに体現していて。
「成功するまでそこまで時間はかからなかった、幸せになるには時間がかかった」
そんな名言を残しています。
何が言いたいのかっていうと、現代の資本主義というイデオロギーを信じてる時代徐々に「それ本当か?」「本当に幸せになれるのか?」という疑問に変わってきているということ。
僕らは究極を言えば「幸せ」になるために生まれてきている。
それまでは神や宗教が、その幸せになる方法を伝えていて。
それが科学によって崩れた後は、イデオロギーが支配している。
ただ社会主義だろうが資本主義だろうが、「幸せになる方法」を定義した1つの方法でしかなくって、それが答えとは限らない。
いやむしろ、資本主義の幻想に翻弄され、疲れはてた人たちが現代にはあふれてる。
FIREなどの本が流行っていることからもわかるように、「本当にあくせく働くことが幸せなのだろうか」という疑問があふれ、多くの人に刺さっている。
だからこそ僕らに、今問われているのは「幸せ」ということをもう一度考え直す機会だと僕は思います。
あくせく働くことがいい?機械の一部として働くことが大切?身を削って働きお金を稼ぐことが幸せ?
ここら辺を今一度考えなくちゃいけない。
そう思ったうえで、この本のタイトルを見てみると「99.9%は幸せの素人」という言葉はかなりグサッと刺さってきます。
当然内容は科学的なエビデンスを盛り込んでいて、信ぴょう性はかなり高く、ほとんどの人が「幸せの素人」であることが浮き彫りになっていく。
資本主義ではお金を稼ぐことが上手くはなっていくかもしれないけれど、幸せになることに対して上手くなるわけじゃない。
資本主義は「お金=幸せ」ということを定義するイデオロギーだけど、実はそうじゃないことにみな気づいているからこそ、次は「幸せ」を科学し追及することがいま求められているんじゃないかなと思います。
本のタイトルが秀逸で、内容も考えさせられる。
そんな意味で僕は面白いと感じました。
気になった方はぜひ手に取って読んでみるといいと思います。
それでは。